「時代劇に新風ではなく、三谷監督映画に新風が欲しい!笑えない喜劇程悲しい物は無い」清須会議 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
時代劇に新風ではなく、三谷監督映画に新風が欲しい!笑えない喜劇程悲しい物は無い
殆んど笑えない、三谷映画って有りですか?
これでは三谷監督も、いよいよ終焉ですか?と思ってしまう!
元々、時代劇を喜劇として描く事に、私は無理が有ると思うから、今回の映画で当然笑いは控えめになる事は納得が出来る。
ドタバタコメディーにはならない、つまり「8時だよ全員集合」の志村けんや、加藤ちゃの様なノリの笑劇にならないのは至極納得がいく事だ。
だがしかし、それは同時に、三谷映画である意味が無くなる事でもある。
それぞれの歴史的な人物のキャラクターをデフォルメして笑いで描いて見せても、中身が薄いのでは、完成映画作品としては、価値が無く、面白味が全く無い失敗作になる。
それに尺が長過ぎなのも気になる点だった。当然の事、三谷監督作品となれば、宣伝マジック効果も巧いので、集客率は抜群になると思われる。
その分制作費が邦画界としてはたっぷり用意され、その事で、現在の邦画界のスター俳優を集合させられる環境は整う。それも当然の事。
それらの、スター俳優を集結させれば、当然見せ場をそれぞれのキャラに持たせる必要が有る分、長尺になるのは、当然のなりゆきなので、納得がいく。
それなら、時代劇巨編としてしっかりと人物を深く描き出す必要がある。
三谷監督にとっては、これは一つの戦であろう。
しかし、本作「清須会議」では、誰もが知っている歴史的な人物の中身が軽薄なのでは、製作意図が不明になる。
観ていて何故、2013の年末の現在の日本に、この作品を制作して観客にみせる必要があるのか?そこが見えて来ないのだ。
作りたい作品を監督は撮影するその事は納得出来るのだが、この作品を観る限りでは、何故この作品を、今の日本国民に見せたいと、三谷監督が望んでいたのかが全く伝わって来ない作品だった。
役所さんも、大泉さんも、それぞれ熱演していた事には、拍手喝采を送りたい。
しかし、こんなに巧い俳優を使っていても、その俳優の芝居が生きて来ないのは酷く落胆させられる。公開初日の割には集客が少ない映画館だったが、まぁこの出来栄えではしょうがないだろうね・・・
これだけのスター俳優を集合させて魅せる作品ならば、マジな時代劇を描いた方が、三谷監督の新しい魅力を観られる良いチャンスだったと思う。
もう、一層の事、喜劇路線から脱却して、これからは、シリアスな三谷映画を是非みせて欲しいものだよな、その方が絶対良いかも知れない?!!
この作品に好意的な部分を沢山見出していたので、すごく好感が持てました。
この映画に私は好感を持つことができなかったので。
ひとつひとつの見せ場がある。そこが全体の話をすごく細切れにしていて、舞台の演出だったらいいんですよね。
舞台下手ではこんな話をしている、上手ではこっちの話をこうしているっていうのがひとつの舞台で見れますから、映画としてはどうなんでしょう。
これは完全に舞台的な演出の舞台劇だと思います。
お芝居で見たらもっと楽しめたかもしれないけど、映画ではその面白みを感じることができませんでした。