劇場公開日 2013年11月9日

「呪う天下人の証明。生き残りに全てを賭けた人々の話。」清須会議 コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0呪う天下人の証明。生き残りに全てを賭けた人々の話。

2023年8月16日
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鑑賞方法:DVD/BD

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内容は、歴史的に有名な織田信長暗殺の本能寺の変。明智光秀討伐直後その後目を話し合う次期天下人を決める評定(会議)での刀を交えないもう一つの戦いを三谷幸喜の原作・脚本・監督で描く合計5日間の物語。印象的な台詞は『良かった〜人間死んだらお終いよ!』第一幕の終わりに出てくる急いで駆けつけ用とする滝川一益とでくわす更科六兵衛の台詞。命懸けの評定の中で生き残りを描く物語の本質をつく様なパンチある台詞だと感じた。『良かった。それが遠い未来と祈るばかりです。』羽柴秀吉の台詞も涙無くしては観れませんでした。二人の胸襟を広げた本心の和解と離別の深い思いが伝わって来て非常に良かったです。そんな創作が観るものの気持ちを救ってくれます。印象的な部分では、小物が目立つ様に感じます。柱の刀や秀吉の右手袋や京土産の香炉やラッキョウやサザエや木偶の坊が登場人物の背景や思惑や希望や絶望を表している様で凝っていて素晴らしいと感じました。印象的な場面は『至極真っ当な意見だかける×3』池田恒興の清須会議本番での台詞。三段落ちを使うのが上手い。人たらしたる秀吉に言いくるめられる相槌が、言わされた本心の様に聞こえる人心掌握術は寒気がした。登場人物の殆どが、時代の流れの中で生き残りを賭ける保身レースその姿形が、時代を超えて現代まで通じる事もあり面白くて切ないが、それでいて自分を見つめ直せる楽しい作品でした。この物語を観るとジャケットの表紙の人物配置がよく分かります。そうだったのかー!成る程と何度も楽しめそうです。それぞれの生き方に向き合う人々の話は、人物の成長もさることながら見ていて楽しい。君たちはどう生きるかに繋がるテーマを見た様な気になりました。

コバヤシマル