「スピンオフでもテーマは本気度高し」相棒シリーズ X DAY 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
スピンオフでもテーマは本気度高し
大人気ドラマ『相棒』のスピンオフシリーズ2作目。
ドラマ版のファンとしては、いつもの主役二人がいない所で、
レギュラー陣が何をやっているのか垣間見えるのが面白い。
主役二人の活躍で霞んでるけど、みんなちゃんと仕事出来る人たちだったのね(笑)。
前レギュラーの神戸くん(「お言葉ですが」も健在)や
裏の読めない笑顔が怖い片山先生などもお元気そうで何より。
いつになく弱気な刑事長の姿には軽く衝撃も受けたし。
毎回ヒマを持て余し気味の角田課長も、今回はヒマじゃない。
取調べではニコニコしながら相手を脅したりブラフをかけたり……
あんた、本当にあの角田課長なのかい?と目を疑う働きぶり(笑)。ちょっとカッコイイぞ、課長。
そして勿論、主人公の伊丹刑事。
相変わらず融通利かない・イヤミったらしい・顔怖いの三点セットだが、
自分の信じる正義に対して全く妥協しない熱さにはグッとくる。
それと比べると、サイバー犯罪課の岩月刑事はちょっとキャラが弱かったかなぁ。
イヤミの言い合いや伊丹刑事の熱さに感化される流れは面白かったが、
それでもストーリーの解説要員という印象がやや拭えず。
肝心のストーリーはいつもの『相棒』節。画としては地味だが、
将来本当に日本を襲うかもしれない金融危機を殺人ミステリーに盛り込む辺りは流石。
サスペンスとしての引っ張り方もこなれたもんだしね。
札束の嵐については……まあ少しでも画にケレンを出したかったんでしょう。
それ以上は申しますまい(苦笑)。
投げっぱなしのラストに賛否両論あるようだけど、
これだけ巨大な問題が映画内できれいサッパリ解決する方が
かえって嘘臭くて白けると思うので、僕は支持派。
それに、ある程度危機感を煽られた方がまだ対処の考えようがありそうなものだ。
……今のところ、なぁんも考えてませんケドねあははは。
映画で言われていたXデイ……本当にいつか起こるのかねえ、そんなオソロシイ事態が。
ああ、伊丹刑事と同じように、「難しい事は分かんねぇよ」で済ましたい……。
あまり派手さは無いので大画面で観るメリットは薄いけど、
テーマとしては面白く、『相棒』ファンなら十分楽しめる出来かな。
少なくとも、カメラも演技も演出もドラマシリーズ以上にチープな
『米沢守の事件簿』よりはずっとずっと面白いと個人的には感じた。
判定2.5にファン目線を少し足して3.0判定で!
〈2013/3/31鑑賞〉