劇場公開日 2004年12月4日

「独特のアニメ」新暗行御史 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0独特のアニメ

2025年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

 韓国版『北斗の拳』といった雰囲気なのか?と想像していたが、世界観、ストーリーは全く違っていた。最も違っている点は、「本当に強いのか?」と感じさせるところだ・・・

 いにしえの国、聚慎(ジュシン)に隠密要員である暗行御史(アメンオサ)は王の特命を受け、地方を巡り悪政を糾弾し、庶民を救うという特殊官吏であった。その国が滅ぼされ、目的を失った暗行御史の一人文秀(ムンス)が国を滅ぼした一人の男を追って旅をする・・・映像は、ターミネーターやマトリックスのCGをも思わせるアジアン・テイスト溢れるアニメだ。

 謎が多い主人公のムンス、強敵を蹴散らすほど圧倒的な強さを誇示するわけでもない。戦闘ではずるい手を使ったり、ちょっとひょうきんな態度も取ったりして、微笑ましかったりする。武器使うよりファントムソルジャー達を使いこなして敵を倒すのが得意の戦法で、「アメンオサだ!」と決め台詞を吐くと同時に印籠のようなモノを見せる。むしろ強いのは、山道(サンド)の春香(チュンヒャン)なのだが、言ってみれば、黄門様と助さん格さんのスタイルなのです。しかし、アメンオサとしての意地と見栄が邪魔して「助けるな!」と言ったりするので、可愛く見えるところもしばしば。

 悪い奴をこらしめたりもするが、何から何まで庶民を助けるというより、庶民に自分たちの力で悪領主を倒すように促したりして、民衆自らの手によって国を再興させるカリスマ的存在だったのではないでしょうか。「真実が見えにくくなっている」という言葉に表れているように、ヒーローによる一方的な正義を押し付けることのない、味のあるテーマが隠されているように思います。

 このアニメ映画はアメンオサとサンドの紹介と一つのエピソードだけで終わっているのでシリーズ化して何本も作られそうな予感がします。なので、ストーリーはそれほど面白いものではないのですが、キュートなヒロイン・・・しかも強く、美しく、泣き虫という惹きつけられるキャラのサンドのおかげで平均点まで上がりました。

 尚、韓国映画の『春香伝』にも出てくる暗行御史、登場人物の夢龍(モンリョン)、春香(チュンヒャン)も同じ名前で登場しますが、どの程度関連付けてあるのかはわかりません・・・勉強不足です。

【2005年2月映画館にて】

kossy