劇場公開日 2016年12月10日

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「愛しく美しい、10分間の動く絵本。」霧の中のハリネズミ sophia703さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5愛しく美しい、10分間の動く絵本。

2017年1月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

ロシア・アニメーションの詩人、
ユーリー・ノルシュテイン監督の代表作の1つとして、
「話の話」と共に上映される、本作。
監督の私的な回想の映像化と言われる「話の話」とは異なり
こちらはセルゲイ・コズロフの児童文学を原案に
独自の造形と映像化を試みた、「10分間の動く絵本」。
霧の中に恐る恐る足を踏み入れていくハリネズミが
見たり、聞いたり、触ったり、落ちたりしながら出逢う
さまざまなキャラクター。
水墨画を思わせる深い霧の中で、鳴き声や動きや佇まいや吐息で
彼らの存在が、ハリネズミに未知の何かを伝え、感じさせていく。
ハリネズミの心情に寄り添い、支える音楽も
優しく穏やかで、愛に溢れている。
今回の「ユーリー・ノルシュテイン監督特集
~アニメーションの神様、その美しき世界~」は
2Kによるデジタルリマスタリングのみならず、
字幕や、ポストカード形式のパンフレットに至るまで
実に親切な仕事と解説が付いており、とてもわかりやすかった。
30年前、字幕も付かず(まぁ、字幕がなくてもおおよそは解る内容とはいえ)
解説もなくただ映像美を堪能するだけだった上映に比べると
本当に嬉しい上映会となっている。

sophia703