ウィッカーマン(1997)のレビュー・感想・評価
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何となく観てみました。
配信で適当なやつを探してたら当たりでした。 ミッドサマーはこの作品に影響を受けた作品だったのかと初めて知りました。土着信仰と宗教信仰の互いに認め合わずお互いの正しさを主張する当たりにヒトらしさを感じた。
非寛容はいかんよう…
敬虔なキリスト教徒である主人公の警官ハウイー巡査が、行方不明の少女を捜索するために孤島サマーアイル島に向かうが、そこで待っていたのは全く話のかみ合わない島民たち。何をするにも島民の尊敬を集める領主サマーアイル卿の許可を取って欲しいと言われ捜査は一向に進まない。 他方、島民たちは性に奔放な島土着の宗教を篤く信仰していて、敬虔なクリスチャンであるハウイーはそんな島民の言動が受け入れられない。 一方、島民たちはもうすぐ訪れる五月祭の準備を嬉々として進めているのだった…。 伝説のカルトムービーと呼ばれているけど、ストーリーは案外とシンプルでかつ分かりやすく土着の宗教を信仰するサマーアイル島民と、キリスト教こそが唯一の宗教と信じてやまないハウイー巡査の対比によって、特にキリスト教のその非寛容さと傲慢さが浮き彫りになるような作りになっている。ハウイーは自分こそ正しい神を信じている、という島民にとっては全くもって大きなお世話な注意喚起をしているのが、大変滑稽に見える。 確かに島民のやっていることは一般的な道徳上好ましくないものが多い、だけどそれがこの島の道徳上特に問題が無ければ、それのどこが問題なの?となる。 キリスト教の信者且つ法の番人たる警官のハウイーが寛容になり得ない存在であるのは分かりやすい。警官だって自分が仕えている国の法律こそが守られるべきで、そこから逸脱するものは、いかに離島で別の文化だと言えども許容することはできない。 でも、この事件の捜査では島民は嘘はついているものの、ハウイーの捜査の仕方の方がよほど法律ギリギリの恫喝をしたり、或いは宗教と法律をごっちゃにしている感もあり、正直ハウイーに感情移入するのは大変難しい。童貞拗らせちゃった風紀に煩いチェリーボーイおじさんである。 大きな戦争など大半が宗教の衝突から始まる場合が大変多い。土地欲しいから攻めちゃおうなんてプーチンぐらいのもんである。 他の大規模な戦争は大抵宗教絡み、それも中でも世界二大非寛容宗教のキリスト教徒イスラム教は結局、この映画におけるハウイーそのものである。 人が何を信仰しようが、その信仰による良いこと、良くないことが自分と異なろうが、そんなのはその人の勝手。自分が正しい、自分の信じるものが正しい、って人は考えたくなるだろうけど、土地土地の考え方を無視して振りかざしたところで、迫害されるどころか藁人形に入れられて燃やされるばっかである。 自分が同化する必要も受け入れる必要もない。ただ、ああ君はそうなのね、と受け流すことができれば、世の中もっと平和になっていくに違いない。異国に住むと、その感が余計に強くなる。 そんな何事にも非寛容な現代を予見したかのような作品で、変な作品ながらなかなかに侮れない名作だったりするのである。 この辺りの目線の鋭さが、ミッドサマーでは感じられんかった部分なんやな。ド田舎祭り生贄映画のマスターピースは偉大やなと感じた次第。
やっぱりイギリス映画ってやってくれるよな、と思わせる伝説のカルトホラー。『ミッドサマー』が影響されたってわかるわ(ラストの衝撃度と伏線回収の上手さは此方が上)
①伝説のカルトムービーだと言うことは知っていましたが、『ミッドサマー』がこの映画に影響を受けている事は恥ずかしながら知りませんでした。ある方のレビューを読んで“これは観なくちゃ”とU-NEXTで早速鑑賞。②先ずは映画が始まって題名が『Anthony Schaffe’s The Wicker Man』と出て“えっ、嘘⁉️”とビックリ。でもその後のクレジットでしっかり脚本:アンソニー・シェーファーと出ていたので否が応でも期待度アップ。何故なら大好きなヒッチコックの『フレンジー』の脚色を手掛けていたり、これまた大好きなアガサの『ナイルに死す』を上手に脚色してくれていたり(勿論1978年版『ナイル殺人事件』の方です。恥ずかしながら『探偵(スルース)』は未だ観ていません。)で信頼度は十分。③ミステリーの本場イギリスらしく、最初は一人の少女が行方不明になったという匿名の投書を受けて本土から来た巡査部長のヒアリングに対して少女の母親も含め島民がみんな知らぬ存ぜぬでの(でも曰くありげ)如何にもミステリアスな出だし。ところが、巡査部長が投宿先のパブに到着すると、いい歳のオッサン連中がのどかなスコットランド民謡(フォークソング)みたいなリズムに乗せてかなり卑猥な内容の唄をみんなで楽しく歌っていて、早速「なんじゃこりゃ?」と思わせてくれる。巡査部長も同じように思ったのかパブの外に出て散歩していると草むらのあちこち(しかもお互いの距離が近い)でカップルが盛んにまぐわっております。「どんなとこやねん」とほうほうの態でパブに戻った巡査部長、「もう寝る」と自分の部屋に上がって寝ておりますと、今度は隣の部屋でパブの主人の娘(ブリック・エクランド)が全裸で壁を叩いて回るという痴態を披露。
「ミッドサマー」の元ネタだと言う?!
「ミッドサマー」2019年は、この映画「ウィッカーマン」の模倣・・・と指摘している 批評を読みました。 その言葉がこの映画を観た動機の一つです。 たしかに設定は似ています。 孤立したコミューンに侵入した部外者。 そこで行われる祭事。 夏至祭りに対して、メーディ(5月1日)の祭り。 凝り固まった宗教観のコミューンの人々(村人) 《クライマックスの生贄祭り》 たしかによく似ています。 「ウィッカーマン」1973年。監督:ロビン・ハーディ。 カルト映画だとも言われています。 ウィッカーマンとは、柳の枝で編まれた巨大な人形の檻のことで、生贄になる異教徒を燃やした。 映像はヒッチコック作品を思わせる格調高いカラー映像。 女性は金髪美女が多くBGMは品の良いフォークソング。 美しい孤立した島で、身の毛もよだつ生贄祭りが行われるのだ。 生贄になるのは警察官のニール・ハウィー(エドワード・ウッドワード) 舞台になるのはスコットランド領のサマーアイルという名の孤島。 孤島を牛耳ているのはサマーアイル卿(クリストファー・リー) その島はサマーアイル卿の信じる異端な宗教観の人々が住む。 警官のハウィーは、島で行方不明になった12歳の少女を捜索に来たのだ。 凶作で特産のリンゴが穫れなかったサマーアイル島。 その年のメーデー(収穫祈願祭り)に最高の生贄を求めていた。 異邦人(異教徒)を罠にかける・・・この辺りも「ミッドサマー」と酷似している。 警官のハウィーがガチガチのキリスト教徒なので、「ウィッカーマン」の方が、 宗教的要素は強い。 センセーショナルなラスト。 巨大なウィッカーマンの燃えるラスト。 イエス・キリストの磔にも似て心が痛む。 前半から中盤と退屈な「ウィッカーマン」 対して畳み掛けるようにエピソードを重ねて飽きさせない「ミッドサマー」 「ミッドサマー」2019年。「ウィッカーマン」1973年制作。 46年の年月差。映画技術の進歩。 「ミッドサマー」に軍配が上がるのは当たり前のことと、思います。 しかし「ウィッカーマン」がなければ、「ミッドサマー」も違ったもの、 あるいは存在しなかったかも知れません。 観ておいて損はないと思いました。 過去鑑賞
邪教
題名からして結末は読めてくるが、島民の不気味さや島の異様な島の風習がとても良い。シーンに合わない明るめな民族音楽も不気味さに拍車をかけているように感じる。 ホラー映画の括りだが、全体的に日中のシーンが多く、幽霊やゾンビは出ないし、びっくりもしない。でも不気味で違うベクトルで怖い。 なんか『ミッドサマー』に近いものを感じたが、調べたらこれが元になった映画なんだね。
最後の丘での大団円は圧巻
個人評価:3.7 カルトとエロスの掛け算はなんとも言えずマッチする。演出や村人とのやり取りがわざとらしい部分はあるが、73年の人々と映像なので、令和の時代に見ると何故だか説得力がある。 最後の丘での大団円は圧巻で、ここに全てのパワーを詰め込んだ様だ。
カルト宗教を扱った作品。真摯なキリスト信者の警官が閉ざされた島で行...
カルト宗教を扱った作品。真摯なキリスト信者の警官が閉ざされた島で行方不明事件を解決しに行く。カルト宗教の恐ろしさを伝える映画で観ていてもその信仰が普通だと思っている人々に狂気を感じた。
村人になった気分で♪
異様な島の住人たち。酒場で騒いでいる連中、外ではセックスに耽るカップルたち、学校では異教の授業、と島全体がカルト教団の巣になっているようなイメージだ。ストーン・ヘンジのような神々しい場所で、10数名の裸の娘が踊る光景が印象的なのだ。この光景だけなら、ここに住んでみたいと思ってしまう。。。 確かにエロティック・ホラー、異教徒の収穫祭や考え方、様式の違いには空恐ろしいものを感じるのかもしれない。だが、クリスチャンではない者が観ても、それほどの恐怖は喚起されないのではないでしょうか。無宗教であることが悪い事のようにも思えてしまうのだ。 それでも、この展開は好きだ。最初から、ハウイー巡査は誰から手紙を受け取ったのかを疑問に思わなかったのだろうか。かなり辻褄が合わない部分にも目を背けるような一本気の堅物男という印象だった。だからだろうか、最初からハウイーには感情移入できず、村人中心に見てしまったので、変な気分で終ってしまった・・・
ジャンル不明!
サスペンスなのか?ホラーなのか?ミュージカルなのか? ジャンル不特定です。 2015年惜しくも亡くなったクリストーファー・リーが領主を務める キリスト教とは異なる独自の価値観を持つ島の話。 見終わった後の爽快感がなんとも言えないです。 オリジナルのネガフィルムが手違いで建設中の高速道路の土中に 廃棄されてしまったという、いわくつきの映画でもあります。 88点。
1973年版の方ね
73年制作のイギリス映画。 スコットランドの孤島が舞台になっており 濃厚に特殊な空気が漂っている。 原始的な宗教的共同体の恐怖をシンプルに伝える映画でもあり、それを考えさせる映画でもある。 日本の土着的な雰囲気のそれとは違い空気が明るく乾いた感じ。壮麗な風景とカラフルな色彩が美しい。 そして劇中に流れる音楽が素晴らしい! イギリスプログレッシブロックを思わすような旋律と奥深さ。 話自体はシンプルで難しさはないが 終わり方も含めてほかに似たような映画は観たことがない。 異端の宗教モチーフも危険な魅力に満ちてました。クリストファー・リーの存在感は流石の一言。
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