鍵(1997)のレビュー・感想・評価
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覗く
覗き見ることを題材にした作品に通じているわけではない。
ただ、サスペンスタッチな作品に多いことは確かだと思う。
ヒチコックの「裏窓」や、江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」はそうだし、最近の「アンダー・ユア・ベッド」は、個人的には純愛だと思うが、事件は、やはり起こる。
小池真理子原作の「二重生活」もある意味、覗き見ることがツールだが、観察と称して、つけ回すうちに、自分の心の奥の変化を覗くことになるという面白さがあるように感じる。
だが、いずれも視覚的な覗き見だ。
そういう意味で、谷崎潤一郎の「鍵」は、お互いの日記を覗き見る(実は、「読む」)ことで、それぞれの妄想がどんどん膨らみ、現実と妄想の境界線が曖昧になっていくところが、この作品を際立たせていると思う。
そして、妄想こそが最もエロティックではないかと思うようになる。
昔、付き合ってた女性に、「淫乱って言われたことがあるの」と言われて、妙な興奮を覚えたのと一緒だ。
木村に抱かれていることを妄想しながら、安西と交わる郁子。
郁子が木村と不貞をしてることによって、どんどん淫靡なってゆくと想像を膨らませながら、郁子と交わる安西。
ただ、やはり、覗き「読む」ことが重要な「キー(鍵)」になることから考えても、申し訳ないが、これは小説の方が面白く感じるし、読む人の妄想も膨らむ気がする。
川島なお美さんも綺麗だと思う。
また、柄本明さんのじじい感も良いけど、やっぱり、初めてこの小説を読んで膨らんだ自分の頭の中の妄想の方が、よりエロチシズムなのだ。
この原作は、市川崑監督作品だけではなく、海外でも映画化されていますが、観るかどうかは、しばらく考えないと結論は出ないなあ。
川島なお美
サスペンスのような音楽。これはもはや文芸作品を狙ったのではないなっ!映像もTVドラマ風だし、川島なお美のヌードを楽しませるためだけだったんだな・・・
この谷崎作品「鍵」は何度も映画化されている。初老の男が精力減退のため性的興奮を増すために・・・といったストーリーの典型なんだろう。
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