若いふたり
劇場公開日:1962年11月21日
解説
沢野久雄原作の「運命」より川崎俊祐と青山民雄が共同で脚色、「若い旋風」の堀池清が監督した青春ドラマ。撮影は「硝子のジョニー 野獣のように見えて」の間宮義雄。
1962年製作/70分/日本
配給:日活
劇場公開日:1962年11月21日
ストーリー
音楽喫茶の楽屋で佐倉次郎は懸命にドラムの稽古をしていた。そうした次郎にいつも親切に教えてやるのは庄司俊吉だった。彼はドラマーとして抜群の腕を持っていた。ある夕暮、次郎は与太者に囲まれた少女を救った。黒く澄んだ瞳の少女だった。ステージでは俊吉のドラム・ソロが始まっていた。が、彼の顔を見た次郎は驚いた。彼の顔は異様に歪んでいた。彼のソロは乱れ、そしてドラムが止んだ。彼の倒れる音が鈍く響いた……。支配人の鈴木は冷酷に言った。「フン、麻薬でつぶれたか」と。次郎は俊吉の代りを買って出た。彼のドラムは聴衆を圧した。楽屋に引き上げた次郎に鈴木は言った。「これからは佐倉の舞台だ!」一緒に働く中原謙二も次郎の成功に大喜びだった。謙二も歌の勉強を続けている次郎の仲間だった。楽屋に一人の少女が訪ねてきた。次郎はハッとした。以前助けた少女なのだ。彼女は節子といって俊吉の腹違いの妹だった。兄を迎えにきた節子だが兄のことを聞かされると顔を覆って飛び出していった。俊吉はすでに麻薬中毒であり、鈴木に利用されていたのだ。そんな俊吉の事情を知った次郎は、節子の家へひそかに金を送り続けていたが、何も知らぬ俊吉は次郎を恨んでいた。俊吉は検挙された。悲しみに打ちひしがれた節子の心を更に打ち砕いたのは「次郎にかまわないで」という彼の姉の言葉だった。伊豆の山へ自殺しに行く節子を次郎と謙二が追った。山小屋に一夜を明かした節子は、清冽な山の朝の空気の中に次郎の姿を発見したとき、力強く生きたいという意志に駆られた--。病院の一室で俊吉を看病している節子は次郎のドラムと謙二の歌うのをテレビで見ながら、幸福の予感に胸を轟かすのであった。