えり子とともに
劇場公開日:1951年1月20日
解説
「山のかなたに」に次ぐ藤本プロ・新東宝作品。放送劇で有名な内村直也の「えり子と共に」を、「山のかなたに」の井手俊郎が内村直也と共同で脚色に当り、「白鳥は悲しからずや」の豊田四郎が監督をしている。出演者は、「軍艦すでに煙なし」の山村聡、「七色の花」の角梨枝子、杉村春子、「君が心の妻」宇佐美諄、その他、田村秋子、飯田蝶子、堀雄二、大日方伝などである。(二部作)
1951年製作/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1951年1月20日
ストーリー
えり子は、母の一周忌の墓参のため、花屋のある喫茶店で父と待合せている間に、母の好きだった白いカーネエションの花を見て、楽しかった母生前の思い出にふけっていた。父は大学教授で、母との仲はむつまじく、えり子には理想的な夫婦に見えた。姉の佳代子は新進劇作家轟春夫と結婚し家を去った。そして母が亡くなり、弟良介は北海道へ行った。えり子は父と婆やのしめのと三人きりの生活になった。佳代子はどうやらこの頃生活の苦しさに負け、春夫との仲も旨く行っていないらしく、墓参にも来なかった。壮太郎はしかし春夫を励まして力になってやっていた。えり子は時々は同窓の友に逢ったり、父の許へ議論にやって来る学生たちとも接したり、心に何のわだかまりもない生活にひたっていたが、ある日叔母が父の再婚の相手に一人の女性を連れて訪ねて来たり、松村春枝という父の行きつけの料理屋の女将が訪れて、父に必要以上の親しさを示すとき、心の平和をかき乱されずにはいられなかった。父、母、そしてえり子と、この完璧に思われる関係が、壊されていいものだろうか。えり子にも眠れない夜があった。しかしえり子の苦しみを見通したように、父は彼女の寝室を訪れて優しくえり子の憂いを拭い去ってくれた。えり子は、彼女と結婚するために地球上のどこかで生れて生ているだろう相手の男性のこともいまは思わず、安らかな寝息をたてるのだった。