二十歳前後

劇場公開日:

解説

面白倶楽部掲載の藤枝昌弘の小説を、「栄冠涙あり」「魔の黄金」などの脚色者松浦健郎が脚色して、同じく「栄冠涙あり」「白雪先生と子供たち」「女医の診察室」などの吉村廉が監督したもので、出演者は、小林桂樹、植村謙二郎などの他は、根上淳、北河内妙子を始め殆ど東京側と、京都側の大映ニュー・フェイスの新人たちばかりが主になって活躍する。

1950年製作/76分/日本
配給:大映
劇場公開日:1950年10月3日

ストーリー

富士山麓の湖畔に合宿して猛訓練をしていた東海大学の短艇部員が、ある日湖上で、一人の少女を救った。彼女は野上純子という女学生で、無謀にも、この夏なお氷るように水の冷い湖水を泳いで横断してみようとしていたのだった。寒さにふるえる彼女を一同は合宿に連れて帰って、介抱してやった。さて彼女が帰ると言い出したとき、送り役に選ばれたのが滝であった。純子が滝と一緒に湖畔の道を歩いて行く途中、急に雷鳴がして、放牧の馬が一頭荒れ出して、二人の方へ突進してきた。けれど滝は大手を広げてこれを制止して、純子と一緒にこの裸馬に乗って駆け出した。馬は牧場へ駆け込むと棒立になって二人を草原の上へ振り落とした。抱き合ったまま、草の上へ投げ出された二人は、とっさの衝動で唇を触れ合った。一瞬に吹き去った青春の嵐は、二人の心をさらって行ったようだった。滝は、練習で、成績の落ちたことをなじられるようになり、純子も、その衝動的な態度を級友たちから怪しまれるようになった。数日後、二人はまた偶然に再会した。若い二人は、二人の心を吹きまくる思春の嵐をおさめるのは、結婚することより他に道がないと信じて、二人だけになれる場所を求めてさまよい歩いた。しかし、結婚の、また愛情の実態を知らない純潔な二人は、いたずらに歩きまわり、疲れ果てるばかりであった。とある納屋を見つけ、そこへ入り込んでもみるが、抱き合ったまま息詰まるような二人の夢をさまして納屋へ人が入って来るのだった。この頃、湖畔ではボート祭りに合宿所の学生たちや女学生連がアコーディオンに合わせて、賑やかに踊り、はしゃいでいた。その騒ぎを遠く聞きながら、二人はそっと湖上へボートを漕ぎ出した。純子は服を脱ぎ捨ててボートの中に横たわる。滝はその純子を抱きしめようとするが湖面を伝わって来るアコーディオンのメロディにふと自省して手を緩める。純子はそれを感じて、またしても湖水へ飛び込んで行った。滝もその後を追った。湖水から救い上げられた二人は並んだベットに寝かされている。情熱の虜となってしまうにはまだあまりに若く、純潔であった二人の瞳には、若い嵐のあとの、静かな微笑みがたたえられていた。

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