暴夜物語
劇場公開日:1951年2月3日
解説
根岸省三の製作によって、丹羽文雄の原作小説を、松田昌一が脚色、「三悪人と赤ん坊」の小石栄一が監督に当たっている。出演者は、「愛染香」の藤田進、「宮城広場」の乙羽信子、「ごろつき船」の相馬千恵子、若杉紀英子、その他河津清三郎などである。
1951年製作/79分/日本
配給:大映
劇場公開日:1951年2月3日
ストーリー
ダンスホール・キャピタルの支配人関屋三郎はボクサー上がりの腕達者な男であるが、珍しく礼儀正しい紳士で、ダンサー達の尊敬を集めていた。メリケン辰の異名を持ったギャング重藤は、花山楽団を売り込みに来て、ついでに自分の乾分たちをホールの用心棒に売り込もうとしたが、胆力のある関屋の応待で自分が楽団のマネージャーの資格で雇われただけだった。ある日フロア・ショーの踊子に雇ってくれと押しかけた朱実という娘の強引さに関屋は手を焼いたが、そのコミック・ダンスは仲々のもので、社長山崎の気に入って雇入れにきまったが、朱実はダンサーたちの姉さん株のよし子を見ると、「悪魔」とののしりながらつかみかかってみんなをおどろかせた。よし子は娘をかかえて良人の出獄をたのしみに働いている感心な女性だったが、朱実は彼女の夫高木の実妹であった。朱実は兄に悪事をそそのかしたのがよし子であると信じ込んでいたが、その高木が自分を密告した重藤に恨みを果たそうと脱獄したとき、夫をいさめて真人間にするため力になってくれと頼むよし子の真実な姿を見て朱実は自分の誤解をはじめて悟った。よし子の住んでいるダンサーの宿舎は非常警戒線がはられ、すねに傷もつ重藤はいち早く駅近くの貸し事務所にかくれて、かえって高木の名をかたって朱実をおびき寄せ、高木への防線とすると共に日頃の朱実への野望を果たそうとした。日頃腕力を振るうことを極力控えていた関屋が、このとき憤然として駆けつけ、朱実を救い出し、駆けつけた警官隊に協力して重藤一味を捕縛した。高木はしかし、警官隊と拳銃を打ち合って倒された。遺骨を持って娘道子と故郷へ帰るよし子。しかし若い朱実は、今日もホールで関屋の視線を感じながら、せい一ぱい溌剌として踊っていた。