まぼろし夫人

劇場公開日:

解説

製作担当は「麗人草」の石田清吉で、大映の「虹男」の執筆者、高岩肇のオリジナル脚本を、「緑なき島」の小坂哲人が監督に当る。撮影は「我輩は探偵でアル」の服部幹夫の担当である。出演者は「満月(1949)」の藤田進、「大都会の顔」の山村聡、「愁海棠」の高橋貞二、「深夜の告白」の三宅邦子の他「殺人鬼」に次ぐ若杉曜子をはじめ、清水将夫、永田光男、河野秋武らがそれぞれ助演する。

1949年製作/78分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1949年9月27日

ストーリー

終戦の日、九州のある山ろくに占在する三角兵舎の時の部隊長から、旧家の主五反田義秀は、四、五日前に重要書類だといって預けた箱を持参して呼び出されていった。そこに集っていたのは川添男爵、県庁の佐伯、御用商人の倉崎がその箱を中心に部隊長と争っていた。その中には重要書類ならずどさくさまぎれの中に手にした金塊が入っていたのであった。何にも知らない五反田は面くらった。途端にピストルが鳴って部隊長が倒れた。川添が発射したのだ、これを目にした兵隊は徳永であった。気を失った五反田はこの場に居合わせたため彼等に威かくされ秘密を守る誓約書に署名したのである。この書はそして指輪にかくされ、五反田の知らぬ間に金塊は分配されていた。その後倉崎、川添、佐伯らはこれを基金に事業の拡張、財ばつ、官僚、政治家の間を横行しはじめた。ところが彼にとって恐るべき敵が現われたのであった。それは堂本仙吾である。彼は徳永を背下におき、誓約書を秘めた指輪を五反田家から奪いとり、次々と恐カツし始めたのである。これと共に、社会の腐敗をさらけ出して、民衆の眼を覚まさせる事を使命とする、雑詩「時流」の経営者有田は、この事件を早くも察知し、社員の五反田次郎をしてその探索を命じる。彼は苦しんだ、家名のため、父のためにしばられ、遂に同社の愛人春江の切なる愛情をふり切って辞表を提出する。だが堂本は五反田家に魔手をのばして、父をおどし、その上殺してしまう、あげくに美ぼうの母綾子に目をつけ始める。次郎は唯一の道は指輪を奪還する以外にないと思いそれを決行するが、意外や殺人事件となり、その嫌疑を次郎がうけてしまう。堂本の活躍が始まった。次郎の母綾子は、堂本のため危機危機の連続である「時流」の有田のためその危機が救われた。「時流」社ではこの真相を発表するまでに到った。どうすることも出来ず、堂本をねらう佐伯や川添、倉橋らは自ら事件の全ぼうをさらけ出して行った。次郎は晴れて春江に迎えられ、母の綾子の微笑にいだかれ、刑務所を出たのはそれからすぐのことであった。

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