悲恋模様
劇場公開日:1949年8月29日
解説
長沖一の原作『愛憎交響楽』より「恋の十三夜」の斎藤良輔(鈴木兵吾と協同)が脚色し同じく「恋の十三夜」の原研吉が演出したもの(撮影は森田俊保)出演者は「花婿三段跳び」「海の野獣」の佐野周二「恋の十三夜」の月丘夢路、「青い山脈(1949)」「海の野獣」の木暮実千代「グッドバイ(1949)」の若原雅夫「花婿三段跳び」「殺人鬼」の幾野道子「地獄の笛」「殺人鬼」の徳大寺伸「恋の十三夜」の河村黎吉「愁海棠」の殿山泰司などであり、往年の松竹蒲田スター川田芳子がカムバックして出演している。前篇99分、後篇83分。
1949年製作/182分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1949年8月29日
ストーリー
明彦は行方不明から戦死を伝えられて数年後わが家に引揚げて来たが、妹とみ江が家出して東京に行ったと聞いてすぐ彼女を探すべく上京した、その時彼には尋ね求めるいま一人の女性彩子があった、彩子は明彦の子明雄を抱えて必ず帰るであろう明彦を待つのであったが、叔父夫婦の強引なすすめで明彦の親友修太郎との結婚を一たん同意する、しかし愛のない結婚を恐れた彼女は結婚式の日明雄をつれて叔父の家をとび出し学校友達の美麻子の家に行く、その日愛する明彦が帰還したことも知らず、明彦と共に美麻子の宅を訪れた修太郎の声を聞いて彼女は再びあてもなく表にとび出してしまう、友人雅子の紹介でキャバレーに勤めた彩子は支配人大野の誘惑にそこを辞めねばならなくなってしまった、彩子と雅子のアパートに「叔父の家庭を乱さぬ様にキャバレーを辞めて下さい」と大野のおい明彦が訪ねて来たのも彼の声をとびら越しにききながらそれとは知らずに会わずじまいだった、生活の糧を求めねばならなくなり方策に窮した彩子は大野のキャバレーにいた時知り合い、映画出演をすすめてくれた芸能社社長の土方を訪ねるのだった、その仕事というのが深見という男の企画するいかがわしい秘密写真であり、病気でたおれた女優の代役だと知った彼女はがく然としたがもう遅かった、旅宿の一室に監禁された彩子が偶然巡り合った女、病気になった女優こそは彩子の愛する明彦の妹とみ江だった、とみ江は悪らつな情夫深見のために総てをしぼり取られていたのだった、彼女の病気を直すべく彩子が秘密写真に出ることを決意して宿を出ていったあととみ江の所に電報が来る、とみ江を探して明彦と美麻子が来るのだ、とみ江は兄の妻となるべき人のためにその仕事をやめさせてくれと深見に哀願し冷淡にはねつけられた時彼女はけん銃で深見を射ちたおしてしまう、たおれた深見の前にぼう然と立ちすくむ明彦、とみ江、美麻子の三人、途端に近所のビルから火災、そこのビルに彩子がいるとのとみ江の絶叫に馳けつけた明彦は焼け落ちるビルから彼女を救い出す、彩子の負傷も直って明彦、明雄との親子対面、修太郎と美麻子はこれが縁で目出度く結ばれた、とみ江も執行猶予になるだろうという、明彦たちは田舎へ帰って農場をやろうという、明るく晴れた空。