麗人草

劇場公開日:

解説

「わが生涯のかがやける日」「嫉妬(1949)」の小倉武志の製作、竹田敏彦原作「愛欲の海」から「青蛾」の鈴木兵吾が脚色「たそがれの密会」の原研吉の東西スタッフ交流による京都での戦後第一回作、カメラも「青蛾」の森田俊保である。主演には大映と年二本契約をしていた水谷八重子が「歌女覚え書」(昭和十五年)以来久々の松竹作品出演で、今後も契約出演の予定である。その他「娘十八嘘つき時代」佐分利信「新妻会議」の若原雅夫「男が血を見た時(1949)」の日高澄子(大映)の外「海軍」で処女出演した青山和子が若杉曜子と改名抜擢されている。

1949年製作/89分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1949年3月21日

ストーリー

沼津牛臥海岸の瀟洒なホテル(澪心荘)の女主人章子は二人の娘、緋佐子、葉子と親子水入らずの和やかな日を送っていた。だが緋佐子の卒業の日、章子の暗い過去はあばかれなければならなかった。当然総代になるべき緋佐子が「家庭が悪い」という一言のもとに、大原千鶴にその席を譲らなければならなかったのだ。暗い過去--それは中京の某銀行の重役を勤めていた彼女の父の事業の失脚から彼女は酒色のちまたに身をおとさなければならなかった。一筋の純情にすがる愛人紀夫の愛をも捨てて--美貌の彼女はそこで大原にひかされ、二人の子を生んだ。そして筋道通り一束の金を投げられて「別れてくれ」と言われたのだ。彼はその金を受けなかった。そして思想犯としてアメリカに亡命しなければならなかった紀夫が将来を誓って与えていってくれた金をもとでに、この商売を開業したのであった。殊に愛人水野との契約の日の迫った緋佐子の「母の過去を明かしてくれ」と泣きすがる姿に、大原宅を訪れた章子は二人を庶子として認めてくれと願うのだった。挨拶に出た家老の宮沢の魔手から逃れようとしてあやまって階下に落とした。法廷に立たされた章子は「ホテルの資金」をせめられて困り果てた所に、帰国した紀夫が現れて証言するのだった。晴れて母子二組がそれぞれに結ばれる日も近い日のことであろう。

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