続不良少女
劇場公開日:1950年2月7日
解説
「ホームラン狂時代」「弥次喜多猫化け道中」のマキノ満男のプロデュースに、企画は「野良犬(1949)」の本木莊二郎。「歌うまぼろし御殿」につぐ小田基義の監督、脚本はシナリオ四八会に所属する、小森静男、若尾徳平の共同執筆に出演は前作「不良少女(1949)」に同じく久我美子のほか、「歌の明星」につぐ灰田勝彦、それに徳大寺伸、小杉勇らが共演している。
1950年製作/78分/日本
配給:東映
劇場公開日:1950年2月7日
ストーリー
安ホテルの一室で処女を失った瑛子は、運悪く不良狩りの網にかかって金ちゃんと共に捕まった。引き取りにわざわざ警察まで来てくれた姉夫婦の前にも、瑛子は少しも改心の様子を示さないばかりか、ますます犯行的な態度に出るようになった。ある日瑛子は家人のすきをみて、家を飛び出し、奔放な生活に入っていった。バーの女給にまでなった瑛子はその日々をまったく享楽的に過ごすようになったが、そのバーにある夜、いままで真面目だった女学校時代の友人、民恵が許嫁の森川のにえきらない態度に、業をにやして、いつか華美な生活に心ひかれるようになり、新興成金の吉永と、二人で姿を現すようになった。その頃与太者のために傷を負わされた矢野を看護するうち、瑛子はいつか矢野に心ひかれるようになった。はじめて瑛子の知った恋……。瑛子は、彼女独得の性格上直接、矢野と談判したが、一笑にふされた。この時姉にうるさくいわれていた純潔がいかに尊いものかを知った。いままで、まったく無関心であった処女性について、真剣に考えざるを得なくなったのである。間もなく瑛子の姿はバーから消えて、矢野のアパートの管理人の女中になって住み込むようになり、何くれとなく矢野の身の廻りの世話をするようになった。やがては矢野のあとについて離れぬ瑛子だった。クリスマスの晩など立派なケーキを室に飾って矢野の帰りを待っている誠実さに、さすがに矢野も瑛子をいじらしいと内心は思うようになった。瑛子の心に素直な反省の精神が宿り始めたころ、民恵は、実直な森川に不満を感じはじめた心のすきに、色魔の吉永のために、大切な処女性を一夜のうちに奪いさられてしまったのである。たとえ吉永の奸策にあったとはいえ、自分の行為を恥じた傷心の民恵は、愛する森川と共に過ごした思い出の地、伊豆の大島へと、一通の手紙を瑛子に残して死出の旅路にたって行ったのである。手紙を読んだ瑛子は、あんなに真面目であった民恵に、このような哀しい運命をたどらせたのも、もとはと言えば、やはり責任は自分にあると、いままでの過去における数々の出来事を反省した。自責の念にいたたまれず、瑛子は、森川に急をつげた。取るものも取りあえず、森川は、愛人民恵を追った。そしていまや出帆しようとする大島行きの汽船に辛うじて間に合った森川は、泣きぬれた民恵のすべてを許して、かたく抱擁した。そして離れようとした若い二人の魂は再び結ばれたのである。愛する矢野に、痛烈な批判をされ、あきらめてみじめに去ろうとする瑛子を呼び止めてくれたのは矢野だった。瑛子の身を案じて迎えにきてくれた姉夫婦の手に、飛び込んで、瑛子は、はじめて清い涙を流すのだった。