殺すが如く

劇場公開日:

解説

「土曜夫人」の土井逸雄の企画で高田保の原作を「土曜夫人」の山崎謙太と八坂薫の協同脚色、監督は「舞台は廻る」の田中重雄が当たる。撮影は「三面鏡の恐怖」の高橋通夫が担当。松竹の「駒鳥夫人」の水戸光子。「たそがれの密会」に出演した若原雅夫、久方ぶりにカムバックした羽鳥敏子が大映入社第一回出演、東野英治郎、平井岐代子らが出演する。

1948年製作/89分/日本
配給:大映・東京
劇場公開日:1948年11月9日

ストーリー

有楽町からあまり遠くない川ぶちに内科、外科、婦人科の看板をかかげた西田医院がある。この病院の主、医学士西田平蔵の診察室には、得体の知れない女や、ヤミ屋が出入りしていた。これに目をつけた「世相真報」社の社長島村俊夫に、引揚げ途中で親に死に別れ島村の世話になった戸田絢子は彼の命令通りに五万円をユスッってくるが、その時平蔵の息子、一平と知り合う、一平は復員して一年、彼の医術も使うことなく毎日ぶらぶらしていた、クツみがきの時枝も、少なからず好意を彼に寄せていた、一平は絢子に興味を以って彼女の後を追う、再三再四一平が絢子に会う度に「君は自分を自分で殺している」という、彼女はますます苦しくなってゆく、島村は絢子を離さない、ますます悪の世相におとしてゆく、彼女はまたしても島村から西田医院にゆけと命ぜられるが、もはや絢子は心の良心が目覚めつつあった。一平も何とかして彼女を救いたいと願う、一平の父平蔵に不満をもっている彼は、父のやり方をせめる、父は良心のかしゃくにせめられ自首しようと決心する。一方絢子は島村の命によってユスリに行くが一平と共に「二人が生きるため……」と愛する二人が島村を相手に彼の新聞社に行く、が絢子は射たれた、一平は彼女を抱きかかえながら「君はぼくが医者にかえった最初の患者だ、きっとなおしてみせるよ」と夜道を急いだ。

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