お嬢様お手を
劇場公開日:1946年9月3日
解説
島耕二門下の水野洽昇進第一回作品。
1946年製作/80分/日本
配給:大映
劇場公開日:1946年9月3日
ストーリー
ある山間の小さな町に、東京から中村という若い明朗な医師が母と二人で移転して来た。彼は着いた早々ペンキ屋の松、浮浪児のガン公と知り合い、持論の「走ろう会」を実行しはじめた。この町の医者と薬局の親睦機関「仁愛会」の幹事である薬屋大野屋九郎兵衛が、早速中村医院を訪れ、会費五百円で中村の歓迎宴を開くからと通告してくる。その宴会の席上、彼は町の刀圭界のボス竹本義太夫を初め同様の連中と知り合い、また芸者小梅から見染められる。ある夜、走ろう会の途中お寺の境内で木像のオビンヅル様を撫で、その手で自分の眼をこすっている老人を見て不潔さに驚き早速木像の消毒を和尚にかけ合うが一蹴される。そこで警察署長のところに木像追放を持ち込む。署長も民意に問うてからと、にえきらない。彼の病院の初めての患者、それは同業者が忌み嫌う健康保険の患者で、職工の源三という男を、彼は真心をこめて診察してやる。ある日、製薬会社の社長杉平氏から夫人の病床に立ち会ってくれと迎えられる。不審に思いながら出掛けて診察していると、夫人の主治医竹本に案内されて東京の中村博士がやって来る。同姓の運転手の間違いとわかり、中村は中村博士に礼をつくして退出する。これを見て娘の万里子は彼に好意を持つようになる。一方芸者の小梅は時々仮病を使って彼の所へ押しかけてくる。ある日、町はずれて万里子の自転車と、小梅を背に乗せた中村の自転車と衝突してしまう。万里子は小梅にこだわって、中村の話を受け取らない。万里子の計らいで中村は杉平氏の病気を診察するが、そこで二人は喧嘩を始める。嵐の夜、和尚が卒倒したとの報せに中村は往診して和尚を救ってやる。「走ろう会」は評判になり、小学生たちから署長まで参加するようになる。やがて万里子は父を説き伏せ、遂に杉平氏もその会に加わる。すがすがしい朝、グランドに馳け込んで来た走ろう会の先頭は中村と万里子に左右から抱えられた杉平氏であった。