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二人で一人
1946年。成瀬巳喜男監督。社長に気に入られて宴会の場を盛り上げる二人の中堅社員。それぞれに家族があるが、社長は彼らをいいように利用して私用に呼び出し続ける。最初は意気に感じていた二人だったが「二人で一人前、下駄と同じ」と言われたことに腹を立てて、、、という話。
いろいろと奥が深い。まず、戦前からついたり離れたりの漫才コンビ「エンタツアチャコ」をコンビの枠組みで描くこと。しかも「二人で一人」が社長に反旗を翻すきっかけになる失礼な物言いであることから、つかず離れずのアドホックな関係が理想とされていることがわかる。その関係を「下駄」で言表化、可視化している。
次に、敗戦後の日本社会の表象。酒は配給だし、学生は社会運動に熱心、企業は戦時中の活動を問われている。そして「東条」の名前が突っ込みの中に出てくる。社会の描写を忘れない成瀬監督らしい。
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