剣風次男侍
劇場公開日:1959年10月30日
解説
旗本の次三男問題に材をとった時代劇で、「乙女の祈り」の共同執筆者・灘千造の脚本を、「真昼の惨劇」の野村企鉾が監督した。撮影は「巌流島前夜」の倉持友一。
1959年製作/68分/日本
原題または英題:Valley of Revolt
配給:松竹
劇場公開日:1959年10月30日
ストーリー
徳川幕府もようやく確立した頃。武家階級の封建的な厳しい家族制度は、跡取りの長男は別として、貧乏旗本の次三男たちをして、聟養子に行くこと以外に、将来に道を開くことは困難な境遇に追いやった。こうして、前途に明るい望みを持てない貧乏旗本の次三男坊たちは、次第に若い純粋な心を歪められ、単純な分別によって、粗暴な行動に青春のはけ口を求めていった。富田文之進、大川主税、長谷川桂三郎、黒岩妥女、高山助七、小石栄造らもその一人であった。この冷飯組と跡取り組との対立は、将軍家指南番、柳生源斎の道場をはじめ、彼等が顔をつき合わす場所場所で起った。この対立は、勘定吟味役の娘、深雪の聟養子になるはずだった桂三郎の夢が、千石取りの旗本の長男、山中頼母の出現によって破れたことで頂点に達した。これを知った文之進らは桂三郎と深雪を強引に合わせたが、これが城中の噂となって広がり、家風を重んじるおじの激怒にふれた。桂三郎は、理解深い兄、銀二郎の制止もきかずに腹を切って若い命を自ら絶ってしまった。この桂三郎の死は、文之進らの心を一層すさんだものにした。ばくち打ちの用心棒でわずかな酒手を手にしている文之進のおじ五郎太にそそのかされ、酒、ばくち、女遊びと、次第に悪の世界にそまって行った文之進たちは鳥居信濃守と結託して公儀御用金の横領を策する両替屋・江洲屋三右衛門の巧みな言葉に乗せられて、公金輸送襲撃に加ってしまう。この冷飯組に、あたたかい目をそそいでいるのが、銀二郎の友情に己れの非を悟った主税と、文之進を慕う茶店の娘おみつだった。しかし、この二人の心痛をよそに、文之進らは深みにはまって行く一方だった。やがて、大老・本多大炊頭が事件解決に乗出した。銀二郎が密命を受け、主税もこれに従った。江洲屋の仕掛た罠で、銀二郎と主税と文之進が対決した。あわやという時、五郎太がかけつけ、信濃守の策謀が明らかとなった。数日後、甲府の銀山で明るく働く文之進らの姿が見られた。