幸福の合唱
劇場公開日:1959年10月20日
解説
文部大臣賞を受けた桂一郎の放送劇『木馬の夢』の映画化で、山間の僻地の女教師と生徒たちの交流を描いたもの。「海流」の高橋治が脚色し、「バラ少女」の池田博が監督した。撮影は中島信男。
1959年製作/64分/日本
原題または英題:Happiness Found
劇場公開日:1959年10月20日
ストーリー
寒村の小分教場に石倉先生が赴任して来た。数学が出来なくても、運動会で負けても「分教場だもん、本校の奴等には敵わない」であった。これではいけない、設備もない小っぽけな学校で子供達は劣等感につきまとわれている。幼い日の夢なんてものをちょっとも持っていない。何とかして子供なりの誇りを持たしてやりたい。自信を持たせたい。石倉先生はまず子供達に音楽を与えた。時計もカメラも質においた。足りない分は母校の大学から寄付してもらった。しかしこうした苦心も子供達には練習の辛さだけが先に立って、ともすれば投げだしそうである。こんな時、近くの町にダーク・ダックスがやって来た。石倉先生は非常識を承知で子供達に一行の合唱を聞かせて下さいと頼んだ。石倉先生の情熱にダックスも快く村に来て歌ってくれた。子供達の嬉しそうな顔。こうして子供達は徐々に音楽の楽しさを知った。そしてどうやら児童音楽コンクールヘ出場出来るまでになってきた。ある日、この村へ風船が一つ飛んできた。東京の孤児院からの風船で、それには淋しいから文通したいと書いてあった。村の子供達は孤児院の子供達が劣等感にとらわれているに違いないと思った。早速孤児達を自分らの音楽で慰めようと子供達はこっそり東京へ出て来た。しかし無賃乗車から集団家出とみなされて両国駅に保護された。子供達は俺達は家出じゃない、孤児院の見舞に来たんだ、ダーク・ダックスは俺達の親友だからダーク・ダックスを呼べと大威張りである。村でも皆が大騒ぎであったが駆けつけたダックスの電話によって一安心である。ダックスからこの話をWVTが聞き一役買うことになった。そして孤児達を前にダーク・ダックスと一緒に舞台に立ったのである。舞台の子供達の瞳は明るい。淋しさと劣等感を乗り越えた夢と希望に輝く瞳であった。