炎上のレビュー・感想・評価
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謎
原作未読。
どこまでが事実なのかフィクションなのかわからない。
驟閣寺に惚れ込んだ地方の小さな寺の住職である父が、
亡くなる前に息子を僧侶にして欲しいと預けた。
寺の老師の計らいで古谷大学にも通わせてもらう。
息子吾市は驟閣寺に憧れ毎日のように拭き磨く。
寺も住まいも人手に渡った母が下働きにやって来る
そんな母を嫌悪する吾市。
学校をサボったり
不道徳な行いをする米兵&売春婦カップルの
女性を弾みで突き飛ばしケガさせたことを
老師に吾市本人から報告せずにいて、
後から突き上げられた老師は怒り心頭❗️
吾市は冷たい言葉を投げかけられる。
足の悪い戸苅に金を借り返さないからと
寺に乗り込まれ老師が肩代わりして、
吾市は次は追い出すぞと言われる。
映画では描かれていないが、寺でいじめられたのか?
父がいた頃にふしだらな行為をしていた母が
転がり込んで来てますますイライラしていたのだろうか?
表では立派なことを言いながら芸者を囲う
老師への腹いせか?
お嬢様に戸苅ともども、かたわ、かたわと
連呼されたからか?
驟閣寺に火をつけてしまった‼️
母は列車から飛び降り自殺。
吾市は自殺したのか服役したのか?
あの豪華絢爛な金閣寺にまつわる事件。
何が原因発端なのか、NHKのアナザーストーリーを
観てもわからない。
主人公の逃れられない運命を感じることしかできない
観ていて物語に没入して、市川雷蔵さんが主役だということをすっかり忘れてしまっていた。
それほどまで見事な演技だったと思います。考えてみればスゴいことです。
寺の老師役の中村鴈治郎さんの演技が良いですね。
若い仲代達矢さんが主人公の高校の同級生。身体が不自由でひねくれた男で、主人公をメフィストフェレス的に自然誘導する役回り。スゴい迫力の演技です。
そして、雷蔵さんとセットの中村玉緒さんが出てくる。今回は、チョンの間の売春婦役。
映画の中では金閣ではなくて「驟閣」という国宝の建造物が燃えます。
映画の構成もあって、主人公の逃れられない運命を感じることしかできない。
しかし、あれ、本当に市川雷蔵さんなのか。凄いな、と観終わっても思う。
これで雷蔵さんは演技を高く評価された、と言われるだけあります。
浪花節だよ~ん。
当該犯罪が第三者による偏見や差別から生じたと肯定している。正に浪花節になっている。また、女性の男に対する愛情表現も古い概念で語られ、軽薄な女性として描かれている。
悪い友人と偽善者の住職に挟まれ、自分を見失った障害者の犯罪としている。所謂、判官贔屓と言う概念で、
以後、こう言った映画が現在まで伝統の如く残っている。
忠臣蔵の『田舎侍!』と同じ。
『俺のする事は一つしかない、誰もそれを分かってくれない』と演出家は主人公に嘆かせる。しかし、この演出家自身が『分かっていない』と感じる。
アレ!?誰も『金閣寺』って言っていないね。でも、『金閣寺』だよね?
だから、『金閣寺』を知りたくば
やはり、原作を読もう!
この映画で三島文学を語るなかれ。原作には遠くおよばぬばかりか、伝統の古い概念に縛られた浪花節。
彼は自殺なんかしていない。原作でなくとも『生きようと思った』と語るハズだ。そうでなければ、新しく建て替えられた金閣寺は世界遺産になれる訳がない。
汚れた世界 美醜の苦悩 燃え上がる拠り所
Amazonプライム・ビデオで鑑賞。
原作(三島由紀夫「金閣寺」)は未読です。
市川雷蔵の演技がすご過ぎました。眠狂四郎シリーズなどで見せるニヒルなカッコ良さは影を潜め、スターのオーラを完全に消し去って役に徹していた姿勢に感銘を受けました。
青年の孤独―。世界の汚らわしさを知り、唯一の心の拠り所であった驟閣までも金儲けの道具にされ絶望のどん底へ…。
流麗なカメラワークと映像美で青年の心の襞を演出。驟閣炎上のクライマックスは悲壮なれど、とても美しかったです。
美しいものを美しいままに留めておくためには自らの手で葬り去り、その姿を昇華させるしかなかった、と云うことか?
青年の辿った末路含め、心がざわつく作品でした。
青年の声にならない叫びが炎となって金閣寺を燃やす
吃音症で思いを上手く伝えられない青年
彼を取り巻く人々は話を聞こうとしない者ばかり。実の母もお寺の人々も自身の感情をぶつける一方で、誰も彼も自分のことばかり
信頼していた老師も例に違わず
唯一の友人も死んでしまい、同じく身体にハンデを持つ友人(?)もろくでなし
死に別れた父が思い焦がれた金閣寺
「これ以上ない完璧な美」を支えにする青年だったが、それすらも金儲けのために利用されてしまう
純粋な青年の心とは違いすぎる不浄な現実
そして追い詰められた青年は、禁忌を犯す
罪を犯した者がなぜ犯行に及んだか、どういう経緯があったかを描く作品は数多くあるが断トツで良くできている。大傑作
邦画だけでみたらベスト10に入るくらい好き
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