劇場公開日 1958年8月19日

炎上(1958)のレビュー・感想・評価

全25件中、1~20件目を表示

3.0淀川長治のキネ旬ベストワン選定理由を勝手に想像してしまい…

2025年11月28日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

かつての鑑賞では、
原作三島由紀夫、監督市川崑にも関わらず、
あまり心に響く作品では無かったものの、
改めて確認してみたら、
キネマ旬報ベストテンで、
木下恵介の「楢山節考」
黒澤の「隠し砦の三悪人」
小津の「彼岸花」がワンツースリーの年に
第4位に選出という中、
淀川長治が上記3作品を第2〜4位に選定して
いる中、この作品を第1位に選定している
ことに興味を覚え再鑑賞してみた。

しかし、私の苦手な三島文学原作作品。
やはり、なかなか作品の中に入ることが
出来なかった。

小説の方の表現がどうだったのかも
既に覚えていないが、
この映画で気になったのが、
各登場人物のディフォルメ感。
特に仲代達矢扮する大学の同級生がその典型
なのだが、老師や母親らの人物描写にも
リアリティを感じられなかった。
信じるものに裏切られて国宝の寺を焼く設定
は分からなくもないが、
不自然に感じる登場人物に構成された結果、
現実味ある物語には感じられなかった。

画面そのものは、
見事な白黒映像美の作品だったが、
なにせ三島文学への理解の浅い身として、
小説の読後感と同じ鑑賞後感となって
しまった。

そんな低次元の私が何ですが、
淀川長治のキネ旬ベストワン選定は、
洋画の世界に慣れ親しんだ身の上からの、
あたかも外国人が
日本の観念世界への興味から邦画を評価する
ことと似た感覚があったのでは、
と勝手に想像してみてもみたのだが。

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KENZO一級建築士事務所

3.0究極の美との心中

2025年11月20日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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odeoonza

4.0素晴らしい。原作がそもそも傑作であるが、このクオリティであれば映像...

2025年11月2日
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鑑賞方法:映画館

素晴らしい。原作がそもそも傑作であるが、このクオリティであれば映像化の価値は十二分にあったろう。
溝口の高僧に対する"自分がどんな人物であるように見えるか"との問いは、"どうか私を見つけてほしい"という悲痛な願いが捻り出された、非常に訴えかける良いシーンだった。
作品とは関係ないが鑑賞後に別の組が、"なぜ溝口は火を放ってしまったのかわからない"と仰っているのを耳にして、あぁ、こういう社会で自分は映画をみているのだなぁと。悲愴とも諦観ともいえない、いたたまれない感覚を覚えた。

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えーが宅

5.0タイトルなし

2025年10月11日
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鑑賞方法:VOD

雷蔵、仲代達矢、がじろう、皆素晴らしい。市川崑だし。
雷蔵は、ゾルゲのクールさとは同じ人と思えない。
でも元来、素直で真面目な人ではないのか。生来の不幸さ、寄る辺のない感じがパーソナリティとして生きていると思う。
妄想に入るところのシーンがなかなかいい。
父との同一化。
ぼうっとした感じ。吃音も上手い。
この難しい役、放火への説得力がある。がじろうも、人の良さと俗人的なところとうまく演じている。
全く救いのないラストで、まだ個人より世間の力が強い時代だと感じる。

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Emiri

カッコよさが一切ない雷蔵の魅力

2025年8月10日
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鑑賞方法:映画館

 三島由紀夫の「金閣寺」の市川崑監督に映画化作で、それまで時代劇スターとして名を馳せていた市川雷蔵の初めての現代劇です。

すばらしかったな。雷蔵には一切カッコ良さはなく、劣等感に苛まれ不安と苛立ちが募る気の弱さの表情が抜きん出ています。それを映すモノクロ映像の切れも抜群。当時売り出し中の仲代達也さんとの狭い部屋での会話は、指を触れるだけで切れそうな緊張感が溢れていました。

 ただ、原作中で一番鮮烈な印象を残した「雪の日の妊婦」のシーンがマイルドに改変されていたのは残念。イメージが鮮烈過ぎて、映像化には不要と考えたのかな。

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La Strada

4.0仲代達矢こんな前から活躍してたとは

2025年7月13日
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鑑賞方法:TV地上波

2025年7月12日
映画 #炎上 (1958年)鑑賞

#三島由紀夫 作 #金閣寺 の映画化

金閣寺の住職からやめてほしいとクレームが入り、京都の仏教界も反対し、今後大映には時代劇の撮影はさせないと通達が来たそう #驟閣寺
#市川雷蔵 初の現代劇主演作で、雷蔵の断髪式に3横綱が参加したそう
何で断髪式?

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とし

3.0 聞き慣れない言葉が出てきて、調べると現代では禁止用語とのことで時...

2025年6月5日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 聞き慣れない言葉が出てきて、調べると現代では禁止用語とのことで時代を感じます。ここにも投稿できないことで、再確認しました。市川雷蔵の吃音は、最初こそ違和感がありましたがうまく演じられているなと思いました。
 老師は最初のシーンから化粧水?(しかもその当時にしてもモダンそうな)で肌のケアをするなど胡散臭いところがあって、あまり人格者に見えませんでした。

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たたみ

4.0三島文学から独立した市川崑監督独自の映画美学がある傑作

2025年4月28日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

難しい

斬新

三島由紀夫31歳の時の日本文学の名作と謂われる『金閣寺』を原作とする市川崑監督の文芸作品。有名小説の映画化では日本映画の中で特筆に値する評判は知っていたものの(淀川長治さんの1958年の日本映画ベストワン)、この年になって漸く鑑賞の機会を得ました。市川作品は、「ビルマの竪琴」(56年)「鍵」(59年)「おとうと」(60年)「私は二歳」(62年)「股旅」(73年)「犬神家の一族」(76年)「映画女優」(87年)しか観ておらず、それでも日本映画のなかで市川監督のモダン的で洗練された演出タッチは独特の個性を持っている印象を持ちました。特に「私は二歳」の垢ぬけた演出に驚き、「股旅」にも市川監督独自の粋な才気がありました。流石に晩年の「映画女優」には衰えを感じて低評価してしまいましたが、「ビルマの竪琴」は感動した日本映画の一本です。そして今回の三島文学の作品には、簡潔にして要点を押さえまとめた脚本に感心し、撮影、音楽も素晴しく、そしてキャスティグの適正さと役者の演技のバランスの良さに驚いてしまい、この時代の日本映画の本領を痛感した次第です。

三島由紀夫の原作は、研ぎ澄まされた文章の美しさとその表現力に圧倒されて、幾つか書き写すくらい心酔したほどですが、この映画には名匠宮川一夫の崇高な映像美があります。陰翳の濃いモノクロ映像と絵画のような構図の見事さは、「羅生門」「雨月物語」と比べて見劣りがしません。この日本的映像美と時にスタイリッシュな構図を組み込むカメラアングルの斬新さ。追憶シーンでは背景を切り替えるモンタージュのスマートさもいい。観念的な文学の映像化は表面的なものに陥りやすいのを、この宮川一夫の撮影と実力ある役者の演技で克服している市川監督の演出力により、映画作品として独立しています。

主演は日本映画全盛期の大スターの一人ながら早逝された市川雷蔵(1931~1969年)で、初めて現代劇に挑戦した作品といいます。これ迄観た作品は「新・平家物語」(56年)「好色一代男」(61年)「剣鬼」(65年)「陸軍中野学校」(66年)のみで、代表作「眠狂四郎」シリーズを知りません。どれも魅力的な演技を遺していると思われますが、今回の溝口吾市役は、「陸軍中野学校」の冷静沈着な演技に匹敵するものを感じました。スター俳優が進んでやるような役柄ではないものに挑戦したことに収まらない、人物表現として優れた演技です。この市川雷蔵演じる溝口と同じような境遇の戸刈役仲代達矢の演技にも感心しました。舞台で鍛えた芝居の技巧、足が不自由な難役を自然に見せる身体の動きと流れるような台詞の上手さが素晴らしい。これによって市川雷蔵演じる溝口と対比される人物表現が、設定以上の深さを増しています。このキャスティングの相乗効果の素晴らしさに加えて、老師役中村鴈治郎の安定感と貫禄の演技にも感銘を受けました。溝口に期待しながら修行として距離を置く老師の内面を見事に表現していると思います。溝口の母役北林谷栄も適役以上の上手さがありました。自分の不貞を知られても我が子の出世を期待し親のエゴを押し付ける複雑な役を巧みに演じています。父承道の浜村純、福司の信欣三、友人鶴川の舟木洋一、典座の大崎四郎と、どれも役に嵌っています。なかでも脇役が主で唯一「帝銀事件」(64年)が主演だった信欣三が個性的で渋く、地味ながら存在感がありました。女優では28歳の新珠三千代の品のある美しさ、五番町の遊女役の中村玉緒19歳の初々しさと可愛らしさが、共に好印象で作品内容に合っていました。兎に角、このようにキャスティングが的確で、役者の演技も高いレベルでまとまっていて非の打ち所がないのは、日本映画では珍しい。
原作が名作だと映画として不足があるものですが、これは市川映画として独自の世界観を構築した日本映画史に遺る傑作と言っていいと思います。宮川一夫の映像美と役者の演技を味わうべき映画でした。

〔金閣寺は50年前に一度だけ高校の修学旅行で観たことがあります。しかし、黄金に輝く美しさに見惚れた記憶がありません。印象としては、清水寺と二条城が古都京都らしいと思ったくらいで、会社員時代大阪に3年配属されていた頃(阪神淡路大震災のとき)も再び金閣寺を訪ねることはありませんでした。主人公溝口が絶対的美として思い込んだ、または思い込まされていたことに共鳴することはありません。この絶対的美として17歳の私が衝撃を受けたのが、唯一西芳寺(苔寺)でした。枯山水の古色蒼然とした静寂の佇まいに日本的な侘び寂びの美しさを感じて圧倒されたことが今でも想い出されます。放火される1950年以前の金閣寺には、再建されたものと違う美しさがあったと想像します]

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Gustav

3.5執着、煩悩

2025年4月25日
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悲しい

 昭和19年。溝口吾市は、父の遺言で驟閣寺に徒弟として住みこむことになる。吃音のため口数が少ない彼だったが、父の影響で驟閣に強い憧憬があった。しかし戦後、寺は観光地化、大学の友人戸苅の影響、住職への不信、と不穏な感情が募っていく。
 原作である三島由紀夫の「金閣寺」は、だいぶ前に読みました。実際の事件を元にした小説は、創作が多いと思いますが犯人の心情をあまり理解できなかった記憶があります。しかし今作を鑑賞すると、とてもわかり易い。若かったから理解できなかったし、映像化で理解しやすい、と相乗の効果があったと思いました。
 市川雷蔵と三島由紀夫は、これをきっかけに表現者としてお互いの理解が深まる。しかし二人は全く違った形で、若くして亡くなってしまう。一方、仲代達也は未だに活躍。

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sironabe

4.0観て 読んで 観る

2025年4月21日
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天才三島の代表作ですが、そもそも原作の心理描写が難解なので映像化が限定的になるのは仕方がないです。いきなり読むとよほど頭のいい人以外はよくわからないハズなので、予習として観て筋を掴んだら読んで、もう一度観ると小説の、映画の素晴らしさが理解できます。二度見は邪道ですが、この作品には許されます。

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越後屋

4.0知っても分からなければ知らぬと一緒

2025年4月20日
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意地は強いが皮が弱い主人公を市川雷蔵が演じる。碇シンジか?ファザコンにマザコン、挙げ句に恩人にもコンプレックスをぶちまける。まるで仏の手の中に在る孫悟空のようでもある。周囲を蔑み、心の中にありもしない美しさを宿し、そこに縋る。
罪はしっかりと意識した上で、自らを含めて罪深い存在でしかないと悟る中村鴈治郎の大きな。柔和な娘玉緒。悪友仲代も切れた演技を見せる。
タイトルが実に良い。モノクロに寺の図面とフォントのみ、念仏のような黛敏郎音楽が舞台へと誘う。全編通じて音楽は斬新で現代的でもある。

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Kj

3.0

2025年4月18日
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りか

3.0どこか頼りなげな市川雷蔵

2025年4月17日
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市川雷蔵扮する溝口吾市は国宝の寺 を放火した罪で警察に取り調べを受けていたが一言もしゃべらなかった。

テーマは吃音かな。本人にしてみたら大変だよね。坊主頭の市川雷蔵がどこか頼りなげな風情に見えるね。やっぱり吃音は本人からすると最大の悩みだろうね。

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重

4.0コンプライアンスとハラスメント過敏時代の今では決して作られることのない貴重な映画。

2025年4月17日
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人間の持つ不浄な業というものを美の象徴である金閣と対比して画かれているようである。
主人公溝口の不浄の対象は男女の性的なものであり、不浄なものから生を受けた自身を汚れたものであると考え、母を恨み、父を哀れみ、障害のある友人に安心し、なにより自身を蔑むことでしか自分の存在意義を得られない。
そんな彼は、美の最高点にある金閣を無に帰すということでしか自分を表現できなかった。
個人的には、他人に優しくできず、果ては自死して果てるという、何とも身勝手な輩であるなと思ったのだが、それが人間の本性なのかもしれない。
市川雷蔵の演技は凄かったですね、あの狼狽えた表情、良かったです。

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ちゆう

3.0戦後に焼け落ちた金閣寺と、無意味だった戦中の建物疎開の皮肉

2025年4月17日
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単純

知的

難しい

 金閣寺放火事件を題材にした小説の映画化。

 三島文学の最高峰とも称される『金閣寺』。監督・市川崑、撮影・宮川一夫ら名匠によって映像化された本作も評価が高い。

 事実に材を取りながら、三島の心象をうつしたかのような『金閣寺』はフィクションの要素も多く、映画化に際しては京都の仏教界からの反発は凄まじかったそう。
 原作とタイトルが異なるのも、寺の名前が変更されているのもそのため。

 ナイトシーンを多用した陰鬱な描写によって、驟閣寺の足許に蠢く人間の醜悪さや結末を予兆させる演出は見事。

 眠狂四郎などの剣豪とは異なる役どころを演じた主役の市川雷蔵も素晴らしいが、共演陣も豪華。
 欲望も内面の醜さも剥き出しにした、主人公とは対局的な人物・戸狩をのちの黒澤作品の常連、仲代達矢が怪演。
 出番は少ないが、主人公の父を演じた浜村純も印象的。

 戦時中、空襲による延焼を避けるため、京都では大規模な建物疎開が強行された。
 京都の中心部で堀川通、御池通、五条通の道幅が例外的に広いのはその名残り。

 実は、京都の市街地は現場投下の第一目標として温存されていたため、東京、大阪のような大空襲は実施されず、建物疎開はまったくの徒労に終わるという皮肉な結果に。

 作品の序盤で建物疎開の様子をなすすべなく見つめる住民と思しき婦人の表情が痛ましい。

 NHK-BSにて初視聴。

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TRINITY:The Righthanded Devil

4.5主人公の逃れられない運命を感じることしかできない

2025年3月21日
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怖い

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ねこたま

0.5浪花節だよ~ん。

2023年10月23日
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マサシ

4.5永山則夫

2021年10月20日
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改めて、鑑賞してみて、わかったことがある。溝口吾一(市川雷蔵)は『分裂症』気味だと警察関係が判断した。
今流にいって、精神疾患であるが、それに、どもり(映画の中で使われている言葉、2021年では吃音症という言葉を選んで使ってる。)に子供の頃の悪環境により今で言う自閉症気味にもなっている。
例えば、胸を患っている父親である住職の寺の経営難。母親は親戚のおじさんとの不貞。醜態を見せまいとして、父親が溝口吾一の目を隠すシーン。どもりだから、からかわれたりいじめられたりするため疎外感。 彼のどもりを理解してくれたり、全く気にしていない、鶴川(舟木洋一)や老師(中村鴈治郎)のような存在が幼少の頃の彼にはいなかった。 だからと言って、堂々とどもっていても平気だ、どもっている人間と会話ができないのはできない相手に問題があるといえるようなカリヤ(仲代達矢)のような強い存在では彼はなかった。 大学になってこのような存在の人が現れたわけだが、鶴川には心を開けたけど、事故でなくなってしまった。カリヤは『全てが変わるから、生きているんだ』溝口とは真っ向から相容れないが。老師にも心を開くことができなかった。老師が芸妓を囲っていることを知る以前から、人に寄り添って、甘えるような心が溝口には定着していなかった。孤立感を背負っていて、心の中を見せられる人間との交流がないから、安定していて、戦争中でも変わらない美しさに執念を抱くようになる。また、驟閣の美に溺れる父親が息子、吾一に影響を与えた。はっきりいって、自分が立ち向かえない、蟠りのある現世から逃れ、、驟閣を理想郷として考えるようになったと思う。親子共々、孤立感から厭世主義になり、、驟閣を考えただけで、この世の汚いことを忘れると溝口は言っている。溝口本人も汚れてしまったことを自認していると思う。

あらすじは全く書く気がないが、ここで奇妙なことに気づかされた。 ご存知かと思うが、死刑囚の永山則夫(知らなかったら調べてほしい)だ。彼の子供の頃の家庭環境はすでに破壊されていたが、母親の里に引っ越した時、土地の方言が話せず虐められ、友達もできず、孤立化したと言う。これは戦中の話ではなく、20世紀、昭和時代のことだが。孤独で、いじめの中で、友達もできないし、精神的に患ってしまい、犯罪に手を染めてしまうとことまで似ていて、被ってしまった。永山則夫は獄中で手記を書き、自分の心の中を曝け出し、読者という理解者、共感者を集めたが、溝口は、驟閣の美について娼婦やカリヤに話しても、全く理解されなかったり、全く正反対の意見を言われ、共感できる相手を見つけられなかった。これは本人にとってくるしいことだと思う。 個人的にこのような経験をしているので良くわかる。 しかし、私にとってみると、驟閣の美についての形容が十分でなく、映画画面でそれを感じろと言われても無理があった。脚本をもっと、三島の金閣寺描写に近づけて欲しかった。

父親の夢の中に住んでいる溝口、ひとりぼっちで理解されない溝口。ここで、老師の役割は絶大だと思う。溝口は人に虐められるが、老師の嫌がることをして虐める。愛の受け方は知らなくて、逆手に取る例だ。老師の愛は大きい。自分が何をしているか知っているし、それが罪だと言うことも。だから、自分は相応しくないから寺を返すという。心の中の葛藤、醜悪を面に向き合い解決しようとしている。この映画を見ながら、老師と溝口はちょっと似ているので、共通性を考えてみたが、老師は寺を溝口に譲ることを諦めて、自分の問題点を論理的に解決をしようとする。溝口は自己中心の負の連鎖の渦にいるようだから、分裂症気味になり、ここから抜け出せなく、自分を冷静に見つめることができない。驟閣が炎上した時、老師は『仏の祟りや』と言うが、これは自分の罪のせいだと思っている。老師だけが最後まで溝口のために上告してくれた。そして、罪の懺悔の旅に出る。溝口はまだ負の連鎖の中にいる。 一般市民は駅で無責任なことを言い合う。

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Socialjustice

5.0汚れた世界 美醜の苦悩 燃え上がる拠り所

2021年4月28日
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悲しい

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しゅうへい