太鼓たゝいて笛吹いて
劇場公開日:1958年5月13日
解説
菊田一夫の原案を、「旅は気まぐれ風まかせ」の小国英雄が脚色、「愛情の都」の杉江敏男が監督、同じく「愛情の都」の完倉泰一が撮影した時代喜劇。宮城まり子、有島一郎、三木のり平らのコメディアンに、久慈あさみ、草笛光子、平田昭彦、中田康子なども加わる豪華キャスト。色彩はイーストマンカラー。
1958年製作/102分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1958年5月13日
ストーリー
--駒ケ岳のふもと、薮原の宿へ旅役者市川団九郎一座が流れてきた。下働きのおけいは一座十五人をまかなう台所仕事から囃子方、果てはチョボ語りや役者まで引き受け、文字通り“太鼓たたいて笛吹いて”の大車輪である。早速、彼女は馬の足専門の団七、団八とフレ太鼓をかついで廻る。--尾州藩士大沢頼母の妻お梶が娘を探してこの宿にやってきた。二十年前、ここで火事にあい、赤ん坊を見失ったのだ。一座は莚張りの小屋をかけ、忠臣蔵をやるが、入りはほんの僅かである。二枚目の新之助は梅蔵の妻おとくと密通して、足抜きしようと目論んでいる。万若らも宿場女にうつつを抜かす。団七はおけいに言い寄り、団八も御同様で、たちまち二人の恋の鞘当てが始る。が、彼女は座頭の息子団之丞を慕っている。しかし、彼は太夫元の宇兵衛の女房おたきと浮気の最中だ。--お梶は宇兵衛から二十年前の火事のとき、団九郎一座がここで興行中で、団九郎が赤ん坊を拾ったことを知らされた。座頭の女房おしのを訪ね、事情を話すが、冷い返事である。彼女は帰りがけ、黙っておけいにカンザシを手渡した。舞台で、団九郎が倒れ、死んでしまうと、おしのは団之丞とおけいを強引に祝言させてしまう。おとしと新之助が駈け落ちする。街道筋で、江戸の人気役者嵐権十郎一座が興行している。--一座はますます危機におちいった。おけいは権十郎に会おうとした。面会謝絶。彼女は女アンマに化けて彼の部屋に入り、一座の苦境を話した。彼は団九郎追善興行として一座に協力しようといった。不入り続きが押すな押すなの超満員になった。「塩原多助」では、団七、団八は馬の足の演技を、権十郎に激賞された。権十郎はおけいの人柄にほれこみ、結婚を申しこんできた。おけいは断った、--名ばかりの夫団之丞をやはり好きだから。が、彼はおたきとの現場をおさえられ、問屋場の親方吉五郎に切られた。彼はやっと小屋までたどりつき、おけいの腕の中で死んだ。万若らはどこかへ行ってしまった。一座に再び危機が--。梅蔵はおけいにお梶の国許へ帰るようすすめる。おけいは江戸へ行き、権十郎の力を借りることを提案した。例のカンザシを路金の一部に換えた。一同は元気づけられ、江戸目指して張り切って発った。