青春の冒険
劇場公開日:1957年9月3日
解説
近藤啓太郎の原作「好奇な冒険」を「十七才の抵抗」の池田一朗が脚色、「哀愁の園」の吉村廉が監督、「マダム」の峰重義が撮影した日活肉体シリーズ第三弾。主演は「殺したのは誰だ」の小林旭、「月下の若武者」の香月美奈子、「海の野郎ども」の菅井一郎、「おばこ船頭さん」の二谷英明、ほかに小園蓉子、牧真介、東谷暎子、小夜福子、北林谷栄、柳谷寛など。
1957年製作/80分/日本
原題または英題:The Way of Youth
配給:日活
劇場公開日:1957年9月3日
ストーリー
高校生水原哲夫は、電車の中で知り合った女学生守山富士子の戸籍を区役所で調べ上げ、悪友の松井に自慢顔で打ち明けた。富士子も、きのう自分をつけてきた学生のことを思うと、悪い気持はしない。学校の帰途、富士子は待ち伏せていた哲夫から、サイクリングに行かないかと誘われた。突然のことに驚いた彼女も、警官の前では、哲夫を自分の友達だといってかばうのだった。その夜、哲夫は富士子にラグレターを書いた。日曜日の朝、哲夫の父公平は馬から落ち、看護婦高木千鶴子と帰ってきた。彼女の豊満な肉体から発散される色気が、異性に興味をもち始めた哲夫を刺戟しない筈はない。ベッドに入っても、哲夫は浴室で垣間みた千鶴子の裸身を思いうかべる。ある夜、千鶴子にむしゃぶりついた哲夫は、彼女のなすがままに身を任せ、初めて女の肉体を知った。つぎの日から、哲夫は富士子が子供に見えてならなかった。富士子は、母が哲夫からのラヴレターをかくしたことを知り、自分の気持を伝えようと哲夫の家を訪ねた。が、哲夫は「あんなものは単なるいたずらさ」と冷笑するばかりだ。一方、哲夫と千鶴子の関係を感づいて、公平が千鶴子に暇を出すと、哲夫は病院に彼女を訪ねた。だが、千鶴子に相手にされないばかりか、彼女の情夫安井のためこっぴどく痛めつけられた。悄然と歩く哲夫の肩に優しく手をかけたのは、心配のあまり後を追ってきた富士子である。二人は松井の家へ寄った。富士子は「あなたが好きなのよ」と泣いて訴えたが、哲夫は「もう手おくれだ」と答えた。千鶴子を殺すつもりで、アイスピックを握って飛び出す哲夫の前に、富士子が立ちふさがった。彼女はいきなりガウンを脱ぎ捨て、シュミーズ一枚で哲夫の胸にすがった。一瞬、哲夫も力をこめて抱き返したが、ぐいと突き放した。松井の知らせで駈けつけた両親の姿を見るや、哲夫はハッと立ちどまり、声をあげて泣いた。「お前も富士子さんも、やっと大人になったばかりだ。お前たちの冒険をよくするのも悪くするのも、これからのお前たち次第だ」と公平はやさしくいった。