おばこ船頭さん
劇場公開日:1957年6月18日
解説
野村雪子のヒット・ソング「おばこ船頭さん」から「おんな船頭唄」の戸塚量也と「愛ちゃんはお嫁に」の小林桂三郎が共同で脚本を書き、同じく小林桂三郎が監督した歌謡メロドラマ。撮影は「唄祭り喧嘩旅」の柿田勇。主演は「8時間の恐怖」の南寿美子「反逆者」の二谷英明、「マダム」の広岡三栄子。野村雪子が出演、主題歌を歌っている。
1957年製作/78分/日本
配給:日活
劇場公開日:1957年6月18日
ストーリー
紺青の湖に点々と浮かぶ漁船の群--父親の大蔵と一緒に櫓を漕ぐ娘のふみ子に、若い漁師の仙吉は胸を焦がしていたが、彼女には意中の人、遊覧船の機関士秋山雄二がいた。だが、何故か大蔵の遊覧船を眺める眼には憎悪の光が宿っている。それというのも二十年前に、お互いに性格が合わずに別れた妻が、幼いるみ子を残して遊覧船の船員と東京へ駆落ちしたからだった。ところで、大蔵はふみ子と仙吉を一緒にさせる積りであったが、仙吉からふみ子には船員の恋人がいると聞いて激怒した。その頃、この漁村に賑やかなふれ太鼓の音と共に、中村歌扇一座が乗込んで来た。女座長歌扇こそ、かつての大蔵の妻、ふみ子の母親であった。歌扇は、せめて陰ながらも娘の生長した姿をみたいとこの村にやって来たのであった。歌扇がかつての妻おしげだと知った大蔵は歌扇に逢い、ふみ子に母親として今更名乗り出ないように頼んだ。一方、雄二は仙吉の卑劣な暴力によって負傷した。だが大蔵は依然二人の仲を許さなかった。ある夜、雄二のことで再び大蔵から厳しく叱られたふみ子は嵐の中に飛び出し、いつか歌扇の許に来てしまった。事情を聞いた歌扇は、母の名を胸に秘め、雄二とふみ子とが結ばれるよう奔走した。さすがの大蔵も折れた。ふみ子の喜ぶ姿に歌扇はそっと涙を拭うのであった。