別れの一本杉

劇場公開日:

解説

春日八郎のヒット・ソング“別れの一本杉”の映画化。薄幸の詩人、高野公男の実話を産経時事の池田虎正記者が物語化したものから、「恐妻一代」の津路嘉郎が脚色、同じく萩山輝男が監督。撮影担当は「オーケストラの姉妹」の長岡博之。主な出演者は「この世の花」の川喜多雄二、「阪妻追善記念映画 京洛五人男」の雪代敬子、「花笠太鼓」の片山明彦、「紀州の暴れん坊(1956)」の朝丘雪路、そして春日八郎。

1956年製作/74分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1956年11月14日

ストーリー

高野公男は詩を作ることが好きで、郷里の水戸で土工をしながらも詩を書いてはレコード会社に投稿していた。たまたま彼の詩はキングレコードに認められ作曲家舟木の作曲でレコードとなりヒットを生んだ。舟木と歌手の春日八郎は公男を作詞に専念させるため上京を勧めた。だが彼には病身の母があった。公男の恋人咲子は、悩む彼を励ますが、彼女とて公男との結婚は父に反対されていた。しかし医師の柳川が母を預ってくれることになり公男の上京は実現した。上京の夜、公男と咲子は村の一本杉の下で将来を誓った。上京した公男は作詞への精進を続け次々とヒットを出した。その頃公男のもとへ郷里の妹から、咲子が別の縁談を強要されていると報せが届いた。すると間もなく公男の新作発表会に思いがけなくも咲子が現れた。郷里での縁談を嫌って飛出して来たのだ。久しぶりの逢瀬に二人は喜んだが、それも束の間、咲子は迎えに来た父に連れ去られた。公男は咲子を失った痛手と過労で遂に病に倒れた。郷里の柳川病院に入院したが頭に浮ぶのは咲子のことばかり。公男は見舞いに来た舟木に一本杉での思い出を詩に語った。その頃、一本杉の下を咲子の花嫁行列が通る。そして東京では公男の作った「別れの一本杉」発表会が華やかに開かれていた。春日八郎の歌う、その唄がラジオを通して病床の公男の耳に哀愁をこめて流れて行った。

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