霧の音のレビュー・感想・評価
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3年ごとの悲しい物語
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昭和22年。信州高原に高山植物を研究しにきた大沼(上原)。つる子(木暮)は助手として一緒に山小屋までお供。そっとキスを交わす2人だったが、それ以上の展開はない。大沼は、妻が参議院選挙に出馬すると聞いて不仲は決定的となった。一緒に山小屋で月見をしていた不倫カップルが心中するという事件が起こった。
3年後、娘とともに山小屋に来た大沼。妻はその年の春に亡くなっていた。そして芸者となっていたつる子。しかし、大沼の娘の病気のため会うことはなかった。そしてつる子に熱をあげていた獣医の源吉(柳永二郎)は車を貸し出したため、2人きりになった縁で結婚した。
また3年後、女学生の娘を連れてきた大沼。すでに結婚したつる子と再会。結婚して子どももいると聞いてショックを受ける。3年前、会ってさえいれば・・・
そして、冒頭に戻り、また3年後。娘・悠子(藤田桂子)は3年前にここにキャンプに来ていた青年八木正夫(川崎)と知り合い結婚1年となっていた。山小屋のおはな(浦部粂子)によると、パッパはこの冬に死んだと言っていた。てっきり源吉が死んだと思った大沼。3年前、大沼の娘が「パッパ」と呼んでいたため「パッパ」とは親のことだと勘違いしていたのだ。実はつる子が死んだのだと知り、愕然とした。
3年ごとの物語。90分弱の短いドラマではあるが、上原のやりきれない寂しさが感じられる。妻が死んだ年に再会できていたなら・・・と、悔やんでも悔やみきれない。霧の中をさまよう彼の姿が印象的だ。
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