青年安兵衛 紅だすき素浪人
劇場公開日:1956年8月8日
解説
高田の馬場の十八人斬りで有名な中山安兵衛を主人公にした“平凡”連載、山手樹一郎原作の映画化。「剣法奥儀 二刀流雪柳」の結束信二が脚色、「異国物語 ヒマラヤの魔王」の河野寿一が監督、「満月あばれ笠」の松井鴻が撮影を担当。主な出演者は「怪談千鳥ケ淵」の中村錦之助、「にっぽんGメン 特別武装班出動」の浦里はるみ、「旗本退屈男 謎の幽霊船」の田代百合子、「異国物語 ヒマラヤの魔王」の薄田研二、他に三笠博子、東野英治郎など。
1956年製作/86分/日本
劇場公開日:1956年8月8日
ストーリー
奥州街道のとある宿場はずれ。人足共に襲われた旅姿の娘お世津を助けた浪人中山安兵衛は青雲の志を抱いて江戸に上る途中だった。許婚を訪ねて行くお世津を連れた安兵衛は、好きな酒も断って旅を続ける。だが二人の前に突然、土地のやくざの用心棒で江戸堀内道場の三羽烏村上半之丞が現われた。安兵衛危うしと見えた瞬間、旅の侠客立花屋清五郎の仲裁で事無きを得る。江戸に着いた安兵衛はお世津を許婚の村上邸に送り届けたが、当主庄左衛門の高慢な態度に怒って席を蹴った。立花屋の許にお世津をあづけた安兵衛は堀内道場に赴き、入門を許可される迄はと強引に道場の前に座り込む。その誠意に打たれた堀内の知己菅野六郎右衛門の保証で遂に安兵衛は入門を許され、一筋に修業に励んだ。甲斐あって師範代に迄上達した彼を菅野は主筋の高崎藩指南に推挙したが、安兵衛の出世を妬む庄左衛門に妨害され、桔梗ケ原におびき出される。庄左の推す道場の師範代格、倉本一派と乱斗の末、安兵衛は辛くも逃れた。だが私闘のため、彼は道場を破門され、再び酒におぼれる。そこに舞い込んだ菅野の書状は道場の念流免許皆伝書。菅野の親心に心をとり直した安兵衛と祭見物に出かけたお世津は雑沓の中で江戸に戻った半之丞に狼籍され、それが因で死亡した。安兵衛が再び酒に浸り始めた或る日、村上との決斗を知らす菅野の手紙が届いた。処は高田の馬場、時刻はすでに過ぎた七ッ刻。おっとり刀で馬場に駈けつけた安兵衛は虫の息の菅野をかばい、まなじりを決した。堀部安兵衛の娘お幸の渡す紅しごきを襷にした安兵衛は、庄左衛門一味とお世津の仇半之丞を首尾よく斬り伏せ、莞爾と微笑んだ。