のんき侍大暴れ

劇場公開日:

解説

小説倶楽部に掲載された高木彬光原作“振袖剣光録”の映画化。尾州の徳川万五郎と八代将軍吉宗の継位をめぐる暗闘を描く痛快時代劇。「怪盗鼠小僧 祭に消えた男」の共同脚色者の一人永江勇が脚色し「怪盗鼠小僧 祭に消えた男」に次いで倉橋良介が監督、服部幹夫が撮影を担当した。主な出演者は「怪盗鼠小僧 祭に消えた男」の北上弥太朗、雪代敬子、「黒姫秘帖 (二部作)」の中村賀津雄、「続・この世の花 第8部」の水原真知子など。

1956年製作/90分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1956年7月13日

ストーリー

徳川中期。前将軍家斎が尾州家の若君万五郎に八代継位を遺言したお墨附“青竜秘文”は、現八代将軍吉宗と万五郎の抗争の的となった。幕府隠密黒鍬組の飯田大助は秘かに尾張から秘文を盗み去ったが万五郎の手の者に斬られ、秘文は大助と二世を誓った夜桜お源の手に渡る。だが、秘文をめぐる暗闘を知った怪盗日本左衛門は天下擾乱の良き機会とお源を狙うが黒鍬組に妨げられた。とある料亭に憩う万五郎の許へ偶然、難を避けたお源の様子に、万五郎は唯ならぬものを感じる。日本左衛門に襲われた際、助勢の手を伸べた無双の弥吉と名乗る男と共にお源が長屋に戻ると、家内は大混乱。所望の品を渡せという黒鍬組の置き手紙が残されていた。一方南町奉行大岡越前守は万五郎に秘文探索から手を引くよう懇願するが速座に拒絶される。弥吉こそは万五郎の近習で無双流の達人青井小四郎の変名、彼は主君の意を受けお源を探る一方、黒鍬組の頭領江田島左内の娘秋枝に近づき、幕府側の動静を覗っていた。ある日お源は左内に誘拐され、それを救おうとした弥吉は地下室に幽閉されるが、彼を慕う秋枝に救い出された。お源は日本左衛門の虜となるが、そこに現われた万五郎に救われ、彼の邸へ伴われる。そこで仇と恨む万五郎から、秘文を取り戻しても吉宗と事を構える気はないと聞いたお源は、考えを変え、秘文の隠し場所に案内しようと決心した。その夜、万五郎は用人嘉平と婚約者である松平摂津守の息女深雪に最後の遊蕩を許せと言い残し、秘かに屋敷を出た。とある古寺、飯田大助の墓石の下から秘文を取り出した弥吉と万五郎は、そこに現われた日本左衛門や黒鍬組と大乱闘になる。お源は黒鍬組の狙撃に倒れ、秘文を奪った黒覆面を追う弥吉は黒鍬組頭領の邸で遂に左内を斬った。彼は弥吉こと小四郎に秋枝の後事を頼んで息絶えた。万五郎は幾多の血を吸った秘文を焼きすて、御用提灯のひしめく中に越前守へ隠居の決意を告げ、今は武士を捨てようと決心した弥吉と秋枝を従え、歩み去って行った。

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