極楽大一座 アチャラカ誕生
劇場公開日:1956年6月1日
解説
昭和七年、浅草玉木座で公演して好評を博し、昨年秋に日劇、同年暮にも、東京宝塚劇場で上演された同名喜劇の映画化である。白坂依志夫の脚本を「幽霊タクシー」の小田基義が監督した。撮影は「のり平の浮気大学」の栗林実。主な出演者は「大暴れチャッチャ娘」の榎本健一、「金語楼の兵隊さん」の柳家金語楼、「続へそくり社長」の古川緑波、「笑いの魔術師」のトニー谷、「のり平の三等亭主」の三木のり平、石原忠、小泉澄子など。
1956年製作/53分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1956年6月1日
ストーリー
とある田舎町に、「市川金十郎一座」の幟を立てた旅廻りの一団がやってきた。一座のメンバーは座長の金十郎を始め中村健之助、天中軒雨右衛門、片岡寛太川口義雄に女形の沢村谷之丞と尾上海苔蔵など、皆ユカイな連中である。さて、この町の地主古沢将監は往年陸軍少将だった“夢よもう一度”組の一人。現在は作家志望で暇にまかせて書き上げた脚本を助手の中久保青年に渡し、東京の一流劇場にしかるべく売り込めという厳命である。しかし、うまく行くのは中久保と将監の一人娘真知子の恋愛だけ。一方、たから座で興行しようとした一座の出し物「太閤記十段目」に興行主荒金は大反対である。この町は源義経戦死の地で住民は義経一辺倒であるから、という理由だ。結局は、太閤記の中に御希望の義経が、さしたる用もなく御登場ということに相なった。その夜、古沢閣下は軍隊時代の彼の部下である一座の面々を邸に招待し、席上もっとリアリズムに徹した悲劇をやれと演説をブッた。ところが翌日、一座を訪れた真知子は、父の畢生の大作「最後の伝令」をぜひ上演してくれという。父閣下の努力作を上演すれば中久保との仲を許され、二人は結婚できるワケなのだ。奮起した一同は早速「最後の伝令」に看板を塗りかえ、舞台監督の寛太はリアリズムの追求とばかり売店の娘おせんを主演女優に起用した。当日、真知子の客寄せで場内は超満員。南北戦争余話大悲劇の幕は切って落されたが、稽古不十分で舞台上のケンカが持ち上り、場内は爆笑の連続となった。だが観客の爆笑に気をよくした荒金興行主と古沢閣下は大喜び。かくて中久保と真知子の恋人同士も目出度く結ばれることになった。