若き潮
劇場公開日:1955年12月14日
解説
「サラリーマン 続・目白三平」の沢村勉が脚本を書き、「荒木又右衛門」の堀内直真が監督。撮影は小原治夫が担当した。主なる出演者は「野菊の如き君なりき」の笠智衆、「青銅の基督」の山田五十鈴、「裏町のお嬢さん」の七浦弘子、「あこがれ(1955)」の石浜朗、田浦正巳、「続・この世の花 第4・5部」の中川弘子、文学座の宮口精二など。
1955年製作/92分/日本
原題または英題:Man Behind the Glory
劇場公開日:1955年12月14日
ストーリー
スワロー歯磨本舗の販売部長矢代周平は、昔席をおいた関東大学柔道部の後輩の指導に献身していた。彼の温厚な人柄は部員の信望を集めていた。しかし、ロンドン派遣選手に羽鳥と朝吹を選んだことから、朝吹より実力のある北岡はそれが不服で、部員の梶が合宿の炊事婦の娘久子と親しくするのを見て梶を怒鳴ったりするのだった。周平は北岡を慈愛深く諭した。またアルバイトをやらなければならない羽鳥に周平は自分の給料をさいて援助するのだった。彼はまた道場再建のため寸暇を惜んで奔走した。妻の杉枝は家庭の経済も顧ない夫に冷くあたった。娘の霞も苦労する母を見兼ねて父を責めることもあった。霞はロンドン遠征より帰った羽鳥に、父を家庭に帰してくれと訴えた。羽鳥は自分達が周平に甘えすぎていたことを覚り、大阪で開かれる学生選手権大会にも東京に残っていてくれといった。だが周平は出かけた。夢中になって声援を送る周平の姿は幸福そのものであった。その夜、優勝した北岡の祝賀会の席で周平は心臓病のために倒れた。彼は家庭に不和を招き、新道場も見ずに死んだ。新道場落成祝賀会の日、周平の胸像を前に集まった人々は「生涯を柔道に捧げられた矢代さんは永遠に私どもの心の灯です」という言葉で彼を讃えた。誠実に生きた彼の姿は若い人々の道標となるであろう。