だんまり又平 飛龍無双
劇場公開日:1955年9月13日
解説
面白倶楽部所載の陣出達朗の小説『だんまり又平』より「弥太郎笠(1955)」の浪江浩と新人深田金之助が脚色、「旗本退屈男 謎の伏魔殿」の佐々木康が監督「御存知快傑黒頭巾 新選組追撃」の三木滋人が撮影を担当した。主なる出演者は「復讐の七仮面」の片岡千恵蔵と三浦光子、「忍術三四郎」の薄田研二「旗本退屈男 謎の伏魔殿」の若山セツ子、喜多川千鶴など。
1955年製作/102分/日本
原題または英題:The Painter
配給:東映
劇場公開日:1955年9月13日
ストーリー
その頃、京都には土佐、狩野両派の画風がしのぎをけずっていた。土佐派の当主将監の高弟又平は、生来のドモリだが、根からの善人で画以外の世事にうとかった。将監の娘小夜路が狩野派の当主清源と息子清四郎らと遊んでいるのを見ると又平はその席へ鯰を放り出して一座の度胆を抜いた。目明しが又平を引立てようとしたのを、祇園芸者卯の喜代が救った。又平はそのお礼に卯の花の肌に刺青の下絵を描く約束をした。清源から小夜路を息子の嫁にと申込みがあったとき、それを斥け、三井財閥の世嗣庄之助との婚約をまとめたのは又平だった。弟弟子修理之介の中傷で、又平が旅に出ると、日ごろ彼を慕っている女中徳江もあとを追い、大津で旅宿を経営する妹おつる夫婦の媒酌で、二人は婚礼の式をあげた。だが、風変りな又平の画が売れる筈はなく、貧乏にあえぐうち、上方興行の途中、大津へ寄った江戸役者市川滝十郎の目にとまったのが開運の初まりで、南座での「大津絵」の舞台は大好評を博し、又平の名も知られるようになった。正法寺の天井に竜の画を揮亳する勅令が下って、土佐派と狩野派が火花を散らした。土佐派の代表に推された又平は、徳江と滝壺にこもって、心眼にうかぶ竜の昇天する姿を追い求めた。そして千余の群衆が固唾をのむ前で、見事な蛟竜昇天図を描き上げ、狩野派を破ったのである。