孝子五郎正宗
劇場公開日:1954年12月14日
解説
「懐しのメロディー」の村松道平が脚本を書き、「学生五人男」の小林恒夫が監督する浪曲映画。撮影は「潮来情話 流れ星三度笠」の福島宏、音楽は「お坊主天狗」の山田栄一。出演者は「三日月童子 三部作」の山手弘、「若い人たち」の神田隆、「神風特攻隊」の日野明子に、宮城千賀子、長谷川菊子、高原秀麿、杉狂児などである。
1954年製作/62分/日本
劇場公開日:1954年12月14日
ストーリー
鎌倉の鶴ヶ岡八幡宮の拝殿で毎朝一心に祈願をつゞける少年があった。当時十三歳の少年五郎は、桶屋の和六の息子として、有名な刀鍛冶行光の許に預けられ、子供ながら刀鍛治への希望を成就せんと祈願を続けていたのであった。実は五郎はかつて父を探して歩くうち、小田原の宿で母親に死別し、その時和六に拾われたものであるが、桶屋に育てようとする和六に逆い、身分を隠してやっとの思いで行光に弟子入りしたのであった。ある日、たまたま、和六が行光を訪ねたことから、そのことが行光に分ってしまった。行光には後妻のお秋との間に生れた五郎と同じ年頃の新太郎と云う我侭息子が居り、彼は朝廷に献上する刀を打つことになっていた。だが甘やかされて育った新太郎には、到底刀など打てる筈もなく、行光の弟子定吉、彌助、定助等にとっては苦々しい悩みの種であった。待ちに待った休みに弟子達は外出し、お秋は新太郎を連れて里帰りに出て行った。一人残された五郎は、行光に呼ばれてその生い立ちを質されると、意外にも行光の実子であることが分った。母親が形見として五郎に渡した白鞘の短刀こそかつて行光が鍛え上げたものであったのだ。忘れ物をして戻りそれをきいたお秋は気も狂わんばかりになり、それ以来五郎に辛く当る様になった。やがて五郎は執権に献上する刀を打つことになったが、これを新太郎に打たせようとするお秋は、ひそかに五郎の毒殺を計るが、盗み見たおきんの好意で助けられた。いち早く駈けつけた舅の馬之丞は狼狽するお秋を斬ろうとしたが、身代りとなった五郎の背中をかすった。それを見たお秋は悔恨の涙を流した。やがて傷を治癒した五郎の鎚は、名刀“正宗”を鍛え上げて行くのだった。