腰抜け狂騒曲
劇場公開日:1954年5月19日
解説
「濡れ髪権八」の杉山茂樹が、脚色鈴木兵吾(濡れ髪権八)、監督斎藤寅次郎(宝さがし百万両)、撮影服部幹夫(花吹雪御存じ七人男)、音楽原六郎(宝さがし百万両)のスタッフにて製作する人情喜劇で、出演者は「宝さがし百万両」の柳家金語楼、伴淳三郎、堺駿二、「若旦那武勇伝」の若杉英二、淡路恵子、「若き日の誘惑」の北原三枝、「五ツ木の子守唄」の松島トモ子などである。
1954年製作/94分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1954年5月19日
ストーリー
敗戦直後の大阪道頓堀。ここの暴力団関川一家の兄哥株大天狗の三五郎は、検挙された親分乾分たちの腹いせに、曾根崎署長荒巻良介の官舎へ乗り込んだが、其処で初めて家庭生活のなごやかさや愛情の暖さを知って良心を取り戻した。数日後、良介は三五郎を更生さすべく関西宣伝社長に就職依頼の紹介状を書くと同時に急死した。そこで良介の恩義に感じた三五郎は、関西宣伝社の小使を務める傍ら、英子未亡人と幼い景子の面倒をみてやったが、何時の間にか英子に対して恋慕の清を持つ様になった。それから八年--。英子は良介の死後三年目に景子を三五郎に托して此の世を去った。今、景子は二十歳、或る時のど自慢で一等を取り、声楽家富田研二に認められ、彼の指導を受ける事になった。その日から千日前附近には景子のピアノ代を稼ぐサンドウィッチマン三五郎の姿が見られた。或る日街で三五郎は、山忠一家の与太者の手から富田を救ってやったが、心斎橋で山忠一家の復讐に合い、大乱闘の末警察に留置された。程なく釈放された三五郎は、冨田と景子の間の愛情を知って喜んだが、亡き英子の面影を景子に求めて来ただけにその喜びの中にも一抹の淋しさがあった。その淋しさを紛わす為に飲んだ酒が三五郎の命をとった。後には景子名儀の保険金二百万円が、三五郎最後の贈り物として残されていた。