嵐の青春(1954)

劇場公開日:

解説

中井金兵衛の製作による中井プロ作品。「春の若草」の沢村勉の脚本を、「巌ちゃん先生行状記 処女合戦」の志村敏夫が監督している。撮影は「美しい人」の岡崎宏三。音楽は「五ツ木の子守唄」の加藤光男。出演者は「或る女」の沼田曜一、「唄しぐれ おしどり若衆」の西条鮎子、「伊豆の踊子(1954)」の片山明彦、「処女合戦」の舟橋元などである。

1954年製作/87分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1954年6月1日

ストーリー

春のリーグ戦が満都の人気をさらって展開される頃。帝都大学工科に籍を置き徹夜で新聞社の発送係をアルバイトしながら倉田巡査の一間を借りて、妹の智子と貧しい生活に耐えている佐藤にとって、唯一のオアシスは同じ大学の女子学生で教授の娘志村幸子だった。しかし、汗まみれになって働き続ける同じ夜、幸子の兄で佐藤のクラスメート達夫や、母校の野球部の主戦投手千葉達が、折からのリーグ戦優勝を祝しているのを見ると、彼は憂欝な気持になった。一夜、彼は幸子に志村家のパーティに誘われるが、あまりにもかけ違った周囲に居たたまれず飛び出した。そのパーティは幸子と千葉との婚約披露でもあったのだ。次第に暗く反抗的な階級意識にとらわれていった佐藤は関屋や瀧の政治活動グループに接近し、極端な思想雑誌“新世界”の指令を帯びる身になった。幸子は佐藤の窮状を見かねて智子を千葉の父の会社に就職させよぅとしたが、佐藤の最近の行動の為に拒絶された。幸子の心が佐藤に傾いているのを知った千葉は、智子に野球部の合宿で選手の面倒を見て貰う事を頼み、佐藤にも幸子を幸福する為に政治活動を止めるよう忠告する。だが佐藤は暴力的指令に強制されて第二十三回メーデーに参加し、警官と衝突して重傷を負わねばならなかった。同じ宮城前広場では倉田巡査も死亡した。それ以来、佐藤の周辺には私服刑事の尾行が始った。だがもっと恐しいのは彼等の行動を常に監視する細胞の目だった。関屋は派出所襲撃に駆り出され警官の拳銃に倒れた。佐藤と瀧にも某代議士暗殺の指令が来た。しかし佐藤の最後の良心が時限爆弾の真管を抜くのを止めさせた。その留守に細胞の地下本部が急襲され、代議士暗殺に失敗した佐藤と瀧とが裏切者として監禁された。待っているものは論告と判決だけの冷酷な暗黒裁判と粛清のリンチだった。天井を破って脱出した二人を、早くも発見した魔の手が追って来て、瀧は刺された。しかし母校の野球部合宿に逃げこんだ佐藤は、スクラムを組んで追手と戦う千葉や皆の活躍によって救われた。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

映画レビュー募集中!

この作品にレビューはまだ投稿されていません。
皆さまのレビューをお待ちしています。
みんなに感想を伝えましょう!

レビューを書く