唄しぐれ おしどり若衆
劇場公開日:1954年5月3日
解説
三上於菟吉の原作を「雪之丞変化(1954)」の西条照太郎と「逆襲!鞍馬天狗」の加藤泰とが共同で脚色し、「疾風愛憎峠」の佐々木康が監督する時代劇。撮影は「血ざくら判官」の吉田貞次。音楽は「愛染かつら(1954)」の万城目正。出演者は「花吹雪御存じ七人男」の中村錦之助、「疾風愛憎峠」の西条鮎子、「伊豆の踊子(1954)」の美空ひばり、「続水戸黄門漫遊記 副将軍初上り」の大友柳太朗、加賀邦男、「学生五人男」の長谷川菊子、「宝さがし百万両」の堺駿二である。
1954年製作/94分/日本
劇場公開日:1954年5月3日
ストーリー
江戸の吉原仲之町の引手茶屋の女将お遊女の妹お澪は美貌で有名だったが、丹心組の加賀爪甚内や山田主悦は彼女を連れて行こうとしてここへやって来た。加賀爪はお澪に夢中なのだ。お澪は怖いので奥座敷へ逃げこんだが、そこに若衆姿の客が一人横になっていた。暫くして丹心組の連中は花嫁姿のお澪を連れて屋敷へ戻ったが、これが実は先刻の若衆の扮装した姿で、八ッ幡若衆と名乗るものだった。旗本達は大抵彼のために傷を負ったが、彼を見て何やら思い当る様子で逃げまわったのは山田主悦であった。実はこの若衆は指方竜之丞と云い、兄春之丞の仇を討つ機を狙う身であった。かって春之丞の許婚者だったお銀は、金と慾に目がくらんで将軍家慶の側室となり、主悦をそそのかして春之丞を殺させたのだ。今や主悦は恐怖の中に日夜を送ったが、何も知らぬ妹雪路は、兄を苦しめる竜之丞をうらみ、兄の代りに彼を討とうと思った。一方お澪は竜之丞に対し何時しか恋心を抱く様になっていた。丹心組は幾度か竜之丞を討とうとしたが、常に彼の鋭い剣によって敗れ去った。剣客藤沢青鬼は彼の剣に興味を持ち、真剣勝負を挑んだが勝負はつかなかった。この間主悦は過去の行為を悔み、お銀の旧悪をあばこうとしたため、兄主水守等によって殺されてしまった。真相を知った警棒は、竜之丞を慕い彼に力を添えるようになった。ある日墨堤で、竜之丞は主水守を頭とする旗本達に襲われた。この時主水守を討ったのは雪路であった。竜之丞は一時危うかったが、意外な青鬼の味方に、加賀爪を斬って手ごめにされたお澪を救った。竜之丞とお澪は幸わせな若夫婦として江戸を去ったが、見送る雪路は淋しそうである。