花と波涛

劇場公開日:

解説

『婦人生活』に連載された井上靖の原作を、「旅路(1953)」の池田忠雄が脚色し、「青春ジャズ娘」の松林宗恵が監督した。「思春の泉」の横山実、「恋文(1953)」の斎藤一郎が撮影、音楽をそれぞれ担当している。新東宝第二期スターレット出身の新人筑紫あけみが主役に抜擢され、これに「次郎長三国志 第七部 初祝い清水港」の久慈あさみ、「山の音」の上原謙「母の湖」の山内明、「日の果て」の岡田英次など。

1954年製作/99分/日本
劇場公開日:1954年2月10日

ストーリー

岡山の片田舎宇野で生れ、そだった佐竹紀代子は、叔母の知人、大学助教授大槻正昭の紹介で出版社につとめるべく、京都にやって来た。それから一年。--都会生活も身について、かつての田舎娘と見違えるような彼女は、大槻の心をひく。一方、故郷にいる幼馴染の文学青年司義之から頻々と手紙がくる。それも最初は都会なれぬ彼女への暖い激励だったが、近頃では愛情の告白に変っている。彼女は板挟みとなった。はじめて京都に着いた夜、一晩だけのお附合いでとても親身な感じをうけた画家真崎のところへ、彼女は相談にゆく。真崎はその妻、女優の八波朱実との仲が破綻し、かつての恋人である裕福な木虎夫人と交際している。彼の答えはこうだった「最初の人が一生忘れられないんじゃないですか。」--紀代子はしかし、その言葉を鵜呑みにしなかった。正月に宇野に帰った彼女は、義之と後を追ってきた大槻とのはげしい求愛の間に立たされる。大槻は無理じいに唇まで奪った。しかし彼女は冷静に事態をかんがえながら、生長していった。日が経った。両親も大槻との結婚をのぞむし、当の大槻も彼の業績に授与されることになった文化賞などを笠に着て、婚約を迫る。文化賞云々が潔癖な彼女のカンにさわり、大槻をはげしく罵倒してしまった。一方、彼女に絶望し、かたわら小説志望の路も断たれた義之は京都のホテルで自殺をはかる。紀代子が駈けつけた時には、すでに朱実が看病していた。朱実は戦死した兄の友人義之をもとから知っており、今では彼を愛しているのだ。彼女と義之からこもごも冷たい女、と罵られて紀代子は孤独感に叩きこまれた。彼女はやさしい真崎の愛情にすがりつきたいと思うが、彼は木虎夫人との不倫な関係をいとって、京都を去る決心をしていた。去りぎわに彼がさし示した新聞には、人格的に自信がない、として大槻が文化賞を辞退した記事がでている。真崎が去った後、紀代子ははじめて明るいきもちで大槻を訪ねた。

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