蛮から社員

劇場公開日:

解説

小説倶楽部所載の林二九太の原作を「乙女のめざめ」の椎名利夫が脚色、「遊侠夫婦笠」の堀内真直が監督した。撮影は「東京物語」の厚田雄春、音楽は「遊侠夫婦笠」の奥村一の担当である。「日の果て」の鶴田浩二、「家族あわせ」の多々良純、永井達郎、「にごりえ」の淡島千景、「朝霧(1953)」の若杉英二、吉川満子、坂本武、「とのさま街道」の草間百合子、「壁あつき部屋」の三島耕、「君の名は 第二部」の淡路恵子、「東京マダムと大阪夫人」の水原真知子、芦川いづみ、子役小畑やすし(入社第一回)などが出演する。

1954年製作/93分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1954年1月3日

ストーリー

西村浩一はこの春大学を出たものの、応援団長時代名残りのみごとな顎髯が崇って、目下失業中。彼が母と二人と共に細々生活する近所に、豪壮な邸宅をかまえる貿易会社々長の安井氏は、浩一同様偉大な髯の持主でありながら、和子夫人や令嬢光子の女性中心主義に手を焼いている折から、光子の弟久のことで浩一が彼女の横面を張ったありさまを目撃、浩一に惚れこんでじぶんの社に入社させる。浩一は安井氏が浅草のわかい踊り子理美を恋人にもっている秘密をしり、これをネタに同じく失業中の学友太田、高井の入社売りこみに成功する。ある日、彼が銭湯で出会った植木職兼吉は、もと浩一の家にも出入りしていたことがあり、今仕事中の安井邸には、娘の京子が奉公に上っている。京子は幼馴染みの浩一にほのかな慕情を抱いた。学生時代浩一達と同窓だった市川専務は光子に好意をよせながら、一方ではバアのマダム松子という情婦ももっている。光子がその市川へ、浩一をマネキン人形の運搬にまわしてもらうよう頼んだのは、頬を張られた腹癒せだったが、当の浩一は裸の人形を抱いて銀座をあるく途中、あつまる四周の視線にとりみだし、人形をとり落して、会社の信用を失墜させる。が、この失策を身をもってかばったのはやっぱり光子だった。取引先の男に芸者をとりもつ用件を命じられ、芸者澄香に会った浩一はその純朴な言動ですっかり相手を惚れこませてしまう。和解した光子の希望をいれて大事な髯をそり落した浩一の美男ぶりにみんなはすっかり驚くが、やがてクリスマス・イヴのダンス・パーティ、澄香に引廻される浩一の様子に光子はまたお冠りになる。それと察した澄香は、いさぎよく身を退いた。安井邸で催された新年会で、浩一の剣道と光子のフェンシングの試合がはじまり、またまた彼は彼女を池に突きおとすほどやっつけるが、それが思わぬ機縁で光子ははじめて愛を告白する。一方、澄香のしらせで谷口部長、市川専務らが取引上の不正をはたらいていることを知った浩一は、太田、高井と協力、そのからくりを明るみに出して面目をほどこした。光子と浩一の結婚はいよいよ、実現しそうになるが、病床についた兼吉の口から、京子の心をきいた彼女は、恋を彼女にゆずってイタリイへ音楽の勉強に旅立った。

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