若君逆襲す
劇場公開日:1953年11月10日
解説
村上元三のNHK連続放送劇「白面公子・筑波太郎」の映画化シリーズ第二篇(第一篇は「若君罷り通る」)。「天馬往来」の若尾徳平、「修羅八荒(1952)」の村松道平が脚色し、「次郎吉娘」の酒井辰雄が監督した。「あっぱれ五人男」の服部幹夫、「あばれ獅子」の鈴木静一が撮影、音楽を担当している。「あばれ獅子」の北上弥太朗、「純潔革命」の高千穂ひづる、「あっぱれ五人男」の千秋みつる、堺駿二、伴淳三郎、「片目の魔王」の宮城千賀子などの他、東海林太郎、伴淳、川田晴久、ダイナブラザースが歌を聴かせる。
1953年製作/93分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1953年11月10日
ストーリー
三代将軍家光の治下。--駿河大納言の遺児松平長七郎は退屈の余り料理屋の女将おれん、荒神の辰など市井の徒とこころ安く往来するのを心配した老中松平伊豆守は、黒田甲斐守の息女百合姫と見合いさせようとはかるが、気のない長七郎はその当日ぬけだし河原で昼寝をしている。と、そこへ疾駆してきた一人の老武士が長七郎の眼前にころがりおち「斬首された筈の豊臣三代の君、未だご存生、豊家を裏切りし黒田家へ復讐の手が--」と叫んで息たえた。後を追って能面を付けた武士を頭とする黒装束の一団が長七郎を囲んだが、敵せずとみてとるや、サッと姿をけす。一方これも無理じいの見合いを厭って百合姫は腰元園の叔父吉松の家に身をかくした。偶然その隣が辰の家で姫と長七郎はそれと知らず屡々顔を合わす。するうちに豊臣家の紋“五三の桐”と称する一団は次々幕府の要人を倒し、天下の乱をのぞむ浪人達も動きだした。与力榊山泰之進の手で浪人狩が行われ、その騒ぎにまぎれて百合姫も邸へ連れもどされる。が、姫は家老杉浦外記を抱え込んだ“五三の桐”の手で誘拐された。一方長七郎は妙観上人寄進の経文中に徳川家呪咀の文言をみつけるが、上人はすでに消息を絶った後である。八丈島送りの浪人たちの舟に忍び入った長七郎は、船頭に化けた“五三の桐”一味が役人を斬落し、浪人たちをその本拠に連れこむまま、彼もまたのり込む。大乱闘のあげく百合姫を救いだした彼に、姫はすっかり熱を上げてしまった。--将軍家自ら船弁慶を舞う筈の黒田家主催能の会で、知盛に扮して将軍を暗殺するもくろみを知った長七郎は、当日将軍に代って舞台に立ち、やにわに知盛の面を斬りおとした。現われたものは妙観上人の顔--その白毛をむしり取ると意外、そこには榊山泰之進の顔があった。襲いかかった杉浦外記一味も斬り倒され、ここに徳川幕府顛覆の陰謀はくつがえった。