刺青殺人事件

劇場公開日:

解説

高木彬光の原作を「獅子の座」の伊藤大輔が脚色、「銭形平次捕物控 からくり屋敷」の森一生が監督した。撮影は「一等社員」の鈴木博。「素浪人奉行」の三浦光子、「池田屋騒動」の徳大寺伸、左幸子、文学座の青野平義俳優座の東野英治郎などが出演。

1953年製作/106分/日本
配給:新東宝
劇場公開日:1953年6月17日

ストーリー

かつて刺青の名人といわれた彫安は入墨師のタブウを犯して常太郎、絹枝、珠江の三人の兄妹の背に自雷也、大蛇丸、綱手姫を彫り分けたと伝えられている。常太郎は出征し、珠江は広島の原爆落下当時居合せてそれぞれ現在行方不明であるが、一人残った絹枝はバア・セルパンのマダム。その彼女から世界的な刺青標本の蒐集家、東大医学部の早川博士のもとへ「一命の危険が迫っている」旨の連絡があり、翌日、研究員の松下研三と博士が絹枝の私宅を訪れると、彼女らしいバラバラの死体が風呂場に散乱し、胴体だけが持去られていた。嫌疑者は絹枝の三人の情夫前科者の臼井、土建業者の最上竹蔵その弟の久、それに早川博士だったがそれぞれ事件の時刻にアリバイをもっている。間もなく、今度は竹蔵が自殺らしい死体となって発見される。これで竹蔵への嫌疑がたしかめられたようだったが、たまたま研三が行方不明のはずの常太郎をみつけだし、その常太郎がまた殺害されて、背の刺青が剥ぎとられたことから、今度は早川博士の嫌疑が強まる。--しかし博士の推理で事件は解決した。絹枝は生きていたのである。麻薬患者の彼女は応用化学出身で薬を密造していた久に近づき、久は彼女との生活を豪華なものにするため、兄竹蔵の財産を狙った。まず意外にもパンパンとなって生きていた珠江を探出し、絹枝とみせてこれを殺し、次に竹蔵を殺して犯人の自殺とみせかけた。常太郎から足がつきそうになると、更に彼を殺害、博士に嫌疑をすりかえようと計ったわけである。絹枝を射ち、久は捕われた。

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