玄海の鰐
劇場公開日:1953年7月12日
解説
小説新潮に掲載された下村千秋の原作を「女難街道」の小川正が脚色、「最後の顔役(1952)」の小杉勇が監督した。「むぎめし学園」の永塚一栄が撮影を、「欲望」の伊福部昭が音楽を担当した。「続魚河岸の石松」の河津清三郎、星美智子、「欲望」の菅井一郎、日高澄子、「山下奉文」の大友柳太朗、河村弘二、三島耕、永田靖、「蛇と鳩」の伊豆肇などが出演する。
1953年製作/92分/日本
配給:東映
劇場公開日:1953年7月12日
ストーリー
白昼の玄海灘で密輸麻薬の積換え最中、横取りされた一梱を、玄海の鰐が奪いかえしたのはある大都会の街頭でである。梱の持主渡辺は射殺された。この事件をきっかけに国警本部がうごきはじめ、麻薬売りの“山”がまず捕った。が、麻薬はいちはやく化粧品行商人戸田仙六のポケットにねじこまれている。その仙六は病気のため東条商事をクビになり、娘のダンサー阿佐子が復職嘆願にでかけたが、軽くはねられる。しかし彼女はその妖麗に魅せられた東条の、いつか情婦となった。仙六また釈放された“山”の同類--麻薬売りとなる。阿佐子の兄税関吏の京平も、脅迫されて、一味の買収に乗り、それが露われて免職される。阿佐子は弄ばれて捨てられ、仙六も良心の苦痛にたえかねてか、一味を去る。過去の償いを念じた京平は東条商事と密輸ギャングとのつながりをさぐって情報を国警に提供する。今は瀕死の麻薬患者となった阿佐子が死の床で東条と玄海の鰐の写真の一致を証言したこともあって、捜査本部は俄然緊張する。京平は一味の巣くつ--とあるヌード・スタジオの探察に深入りしすぎて射殺されたが、その報告によって武装警官隊がスタジオを包囲、はげしい銃撃戦のすえ、一味は潰滅した。モーター・ボートで海ににげようとした「玄海の鰐」東条も海上保安隊に立ちふさがれて、射殺された。