大菩薩峠 第三部(1953)

劇場公開日:

解説

スタッフ、キャストとも第一部、第二部と同じであるが、今度は「伊豆の佐太郎」の田崎潤、「親馬鹿花合戦」の坊屋三郎が新しく出演する。

1953年製作/90分/日本
配給:東映
劇場公開日:1953年6月17日

ストーリー

天誅組の烽起は破れ、龍之助は空虚な心を抱いて十津川郷の山小屋にたどりついた時、小屋番の投げこんだ火薬に目をうたれて失明した。而も音無しの構えは盲いて尚更に冴えわたった。大和三輪から戦乱を逃れたお豊と金蔵の夫婦は紀州龍神村で温泉宿を開いたが、天誅組の残党を追って宇津木兵馬が投宿する。お豊は近くの池のほとりに計らずも龍之助を見た。彼は修験者をたよって眼の養生をしていたのだ。翌日、お豊は龍之助の身を案じて家出した。嫉妬に狂う金蔵は兵馬を疑って斬りつけたが、かなわぬと知るや我が家に放火し、火は村一円の大火となった。焔の中を龍之助の手をひいて逃げるお豊を見た金蔵は、やにわに襲いかかって龍之助の剣に斃れた。兵馬が気づいた時、お豊と龍之助の姿はなかった。兵馬は後をしたってかけつけたお松と七兵衛の三人で後を追う。宇治山田の宿でお豊は病床にあった。彼女はお玉に手紙と金を、大湊の舟宿与兵衛にかくまわれる龍之助に届けてくれと頼み、失意の果てに自害した。たまたま忍びこんだ七兵衛の濡衣をきたお玉は、神尾主膳の迫害を受けるが米友に救われ、龍之助に手紙を渡す。折から兵馬とお松が到着し、兵馬は六年の宿怨をいま晴そうとする。しかしお豊の手紙、医師道庵の手術でその両眼にかすかに射すようになった外の光りなどの影響で、今は人なみに妻子や故郷大菩薩への思慕にかられ、心弱くなっていた龍之助は、気負いたつ兵馬の剣の前に、おのれの剣もぬかず、おされおされて崖下に転落する。その脳裏には過去への悔恨が渦まいた。

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