お役者小僧
劇場公開日:1953年4月15日
解説
製作は「江戸いろは祭」の高木貢一、子母沢寛の原作から「銭形平次捕物控 からくり屋敷」の八尋不二と「決闘五分前」の若尾徳平とが共同で脚本を書き「若君罷り通る」の冬島泰三が監督している。撮影は「闘魂」の片岡清。配役の主なものは、「江戸いろは祭」の高田浩吉、関西歌舞伎の中村扇雀の映画初出演、「女性の声」の川喜多雄二と水原真知子、「鞍馬天狗 疾風雲母坂」の宮城千賀子、「闘魂」の高千穂ひづる、「浅間の鴉」の浪花千栄子、「赤穂城」の澤村國太郎などである。
1953年製作/100分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1953年4月15日
ストーリー
大名屋敷の大奥ばかりを騒がす怪盗お役者小僧は、稲葉剛太郎といって武家稲葉武右衛門の養子であった。養父が藩侯の側室の駕篭にぶつかり、そのことから供の者を剛太郎が斬った。その責を負って養父が切腹、彼には追討がかかった。死にのぞんで養父が剛太郎の実母は実父の死後、彼とその弟を残して無理強いに大名の妾奉公をさせられたと打明けたので、彼は実母に逢いたさに大名屋敷へ押し入るのであった。彼の弟は岩井粂三郎という人気役者、その恋人いわし屋のお梅は継母お柳から松平逸斎へ妾奉公を強いられ、その上邪魔な父は、お柳と、その情人で逸斎の用人奥村の手で殺された。剛太郎の許婚綾は彼のあとを追って出府、男と偽って、柳橋芸者小えんと同棲する蘭医凌海の許に身を寄せ、ここで剛太郎と再会し、彼の討手に彼女の兄の源五兵衛が任命されたことをつげた。一方、お梅はお柳と奥村の手で逸斎の屋敷へ連れ込まれるがこれと知った粂三郎の注進で剛太郎がお梅を取りもどしに逸斎の屋敷へのり込み逸斎の古い妾お幸が彼と粂三郎の母であることを知った。剛太郎は傷ついて大川へとび込んで逃げたが、お梅はお幸の手で逃がして貰って凌海の許へたどりついた。粂三郎の出演している市村座の桟敷には、逃げられた腹いせに逸斎から粂三郎とお梅を斬れと命じられた奥村が得意の手裏剣を懐にひそめてひかえていた。お幸は粂三郎の楽屋へはいって彼の身の危険を知らせ、親子の名乗りをしたが、粂三郎の身をかばって奥村の剣に斬られた。剛太郎は源五と出会って果し合いを申込まれるが、市村座の急をきいて駆けつけ、お柳も奥村も斬ってしまう。剛太郎はお役者小僧として捕方にかこまれるが、将軍家からその腕を見込まれお召にあずかった凌海の威光で見のがしにされる。源五も綾と兄妹の縁を切って、長崎へ医学修業に旅立つ剛太郎との同行を許し、粂三郎、お梅、小えん、凌海などと共に品川まで見送ってやった。