続馬喰一代
劇場公開日:1952年8月28日
解説
前篇と同じく中山正男の原作から、「丹下左膳(1952)」の成澤昌茂が脚色し、「風の噂のリル」の島耕二が、前篇の木村惠吾に代って監督している。撮影は「白蘭紅蘭」の相坂操一である。主な出演者は、歌舞伎の市川猿之助、「続・チャッカリ夫人とウッカリ夫人」の轟夕起子、「大学の小天狗」の菅原謙二、「安宅家の人々」の三條美紀のほか、新人の槙俊夫、湯川壽美子と、星ひかる、進藤英太郎、上田吉二郎などの中堅の人々である。
1952年製作/100分/日本
配給:大映
劇場公開日:1952年8月28日
ストーリー
片山米太郎は、イトンムカ山で働いていた。大平は学校を卒業して東京の会社に勤めていたが、その大平から手紙が来たので、米太郎は仔豚を連れて上京した。ところが駅で大平と行きちがいになった米太郎は、苦心の末やっと大平の下宿にたどりついた。すると大平の部屋に美しい娘さんがいるので、大平がいつの間にか嫁さんを貰ったのだと早合点をしてしまった。しかしそれは大平の会社の社長の令嬢久美子であった。一週間の親子水入らずの生活も、都会に馴れない米太郎にとってはあまり楽しいものではなかった。しかし、北見へ帰って来た米太郎は、大平のことを得意気に話すので、大平と血を分けないゆきは淋しく思うのだった。ゆきには唯一人の肉親である姪のつたがいたが、つたと大平とを夫婦にしたらとゆきは心秘かに思っていた。が、ゆきはそのまま死んでしまい、米太郎の嘆きは深かった。ゆきの初七日に、仕事を兼ねた大平が北見へやって来た。大平は早速仕事の材木取引にとりかかったが、例の如く強欲な小坂が承知しないのだった。つたは大平の男らしい仕事ぶりに、段々好意を持って行ったが、大平の心には久美子があった。小坂の頑固さに大平はあきらめて東京へ帰ろうとした矢先、山火事が起った。北見の山を愛する米太郎と大平は小坂に対する恨みを忘れて消化に献身、大事に至らず消しとめた。小坂の心も二人の誠意の前にくじけた。大平は取引に成功、元気に帰京しようとしていた。その蔭には、米太郎とつたとの、あきらめに似た淋しい心とがあった。