華やかな夜景
劇場公開日:1952年6月5日
解説
製作は「二つの花」の小出孝。原作は北条秀司の舞台劇で、「女のいのち」の柳井隆雄が脚色に当たっている。監督は「紅扇」の原研吉、撮影は同じく森田俊保。出演者の主なものは、「母の願い」の佐田啓二、「魔像(1952)」の津島恵子と柳二郎のほか、夏川静江、有島一郎、小林トシ子など。
1952年製作/95分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1952年6月5日
ストーリー
安来良造は大和商事の因幡社長の秘書だったが、老齢で宴会で裸踊りを踊るのが取柄なくらいの男であった。ひとり娘の初子には小林和彦という恋人があったが、大和商事で募集した観光ホテルの設計の懸賞に応募して当選十万円の賞金をもらうことになった。この金がはいったら良造の許しを得て結婚しようと若い二人ははりきっていたが、生一本の和彦は設計を変更するのは勝手だという因幡社長と衝突して、もの別れになってしまった。ところが社長の娘君子はそうした和彦がすっかり気に入って、社長を説いて和彦の条件を許した上、君子の婿に迎えることを承知させた。その橋渡しを命じられたのが秘書の良造で、和彦にそれとなく探りを入れたところ、かえって娘初子との結婚を申込まれてびっくりした。良造は馘になるのが心配で、和彦と初子とをあきらめさせようとしたがそれは若い二人には無駄なことだった。ついにホテルの落成式の祝賀会がやって来て、この夜、和彦と君子との婚約が発表される筈だった。初子とその母しづ子はじっとしていられない気持ちでホテルへ駆けつけた。折から良造の余興の裸踊りがはじまっていた。哀れなその姿には、家族のことを思うその愛情が溢れ出ていた。因幡社長も良造の心境がわからぬほどの朴念じんではなかった。君子をあきらめさせて、初子と和彦の結ばれるように取計ってやった。良造もこれで再び元気一ぱいに、まめまめしく社長に仕えるのであった。