将棋大名
劇場公開日:1960年11月23日
解説
角田喜久雄の原作を、土屋欣三と片岡昭寿が脚色し、「次郎吉囃子 千両小判」の大西秀明が監督した推理時代劇。撮影担当は「親鸞」の坪井誠。(二部作)
1960年製作/112分/日本
原題または英題:The Beast's Eye
配給:第二東映
劇場公開日:1960年11月23日
ストーリー
▽どくろ篇 徳川十代将軍家治の治世。江戸の町に奇怪な殺人事件が起った。質商伊勢屋のおきんと水茶屋の女将おふみが殺され、死体には王将側の駒ばかりで詰め手の駒は一枚もない不可解な将棋の譜面が手袋剣で突き刺してあったという。さらに、この事件の探索を続けていた御用聞き提灯屋柳造が殺され、死体からは謎の棋譜が発見された。幕府将棋所司伊藤宗印は、この棋譜は死人詰という謎の詰手だと知り、この死人詰と太閤駒献上事件が関連あると睨んだ。十六年前、将軍家治鷹狩りの折、将軍家秘蔵の秀吉の筆になる王将駒の献上を申出た北村左源太という男が毒を盛られて急死した事件である。この時、左源太に伴なわれていた八歳ぐらいの男の子が行方不明になったという。四三銀は四十二歳のおぎん、三八歩は三十八歳のおふみと解読して、これを殺人の予告と看破していた高島俊太郎は、恋人お千代の父宗印の無実を晴らさんと事件の究明にのりだした。紅葵を染めぬいた白仮面の怪人物、将棋大名都築権三郎と弟の陣之助らが俊太郎の周辺に出没した。俊太郎は同僚松之丞の懐に柳造の日誌を見つけた。日誌は切りさかれ、一つはお千代の手に入ったが、紅葵一味にお千代ともどもどこかへ運び去られた。もう一つは老中沼田佐渡守の腹臣黒兵衛に奪われた。逢魔ケ原では紅葵一味がお千代をおとりにして俊太郎を殺そうと罠をかけた。 ▽まぼろし篇 紅葵一味から俊太郎を救ったのは町方の捕手群だった。日誌にある柏木村願念寺というくだりを頼りに俊太郎は江戸を後にした。願念寺では、五四の角、五十四歳の角善和尚が殺されていた。角善はもと大奥勤めの茶坊主ということが明らかにされた。太閤駒献上事件の真相とは、家治が自分の胤を宿したお国に太闇駒の王将を与えたことに突を発した、将軍の寵愛をめぐる女の執念と欲がからんだ大奥内の勢力争いだった。お国は、胎内の子は当時庭師をやっていた柳造との間にできた胤であると中傷され、自ら命を絶ったのだった。左源太と八歳ぐらいの子供というのが、お国の兄と、家治の落胤であったのだ。死人詰め殺人事件の真相は、将軍の子として生れながら、その宿命ゆえに将軍に復讐を誓う紅葵と名のるお国の遺子の仕業であった。