黒部谷の大剣客
劇場公開日:1960年8月28日
解説
秋田生雄の原作を、「旗本退屈男 謎の暗殺隊」の結束信二が脚色し、「壮烈新選組 幕末の動乱」の佐々木康が監督したスペクタクル時代劇。撮影は「ひばり捕物帖 折鶴駕篭」の松井鴻。
1960年製作/86分/日本
配給:東映
劇場公開日:1960年8月28日
ストーリー
ゴールド・ラッシュにわく秘境黒部の大峡谷。浪人・一色左近が望山楼に馬を乗りつけた。金鉱を狙う勢力には、幕府の役人、兇暴な士族川鳴一族、それにこの望山楼に屯ろする山師の一群があった。贋金造師の雲右衛門、ビッコの風来老人、放れ駒の金太、傷の五兵衛ら、一くせも二くせもある面がまえの山師ぞろいだ。しかも、望山楼の女主人お蘭は、この山師たちをアゴで使うという凄腕だった。翌朝、左近の行手にたちすくむ男装の女があった。この娘早苗は、地誌学者であった父の遺志をついで黒部の地図を完成さすべく兄の伊織とともにこの谷へ入ったのだ。伊織は重傷を負っていた。左近は伊織を看護した。伊織は調べた黒部の地図を差出した。地図を手に望山楼へ帰った左近は、不意に襲いかかった山師の五兵衛らに地図を奪われた。左近は馬を駆って追跡した。と、岩場の陰から突如女の声が聞こえた。平家集落の娘佐里だ。この女の銃を一発で射ちぬいた者がある。ビッコの風来老人だ。見れば、立派に両足を踏みしめて立っているではないか。彼は、黄金を軍用金にしようと狙う島津藩鉄砲指南役の勤皇派の頭領だったのだ。黒部の谷に、暴風雨がやってきた。伊織の病状が急変し、左近は医者を呼びに出かけた。入れちがいに望山楼へ一人の唐人が馬車を乗りつけた。幕府が派遺したという馬占来だが、実は川鳴族と手を結んで黄金を一人占めにしようと狙う黒幕なのである。山師雲右衛門もこの馬占来の手先だった。新開地唯一の天水桶に毒を入れ、皆殺しを図った。途中、馬占来に疑いを抱いた左近はとって帰し、雲右衛門を倒した。川鳴族と死闘が展開された。一方、馬占来は集落を襲撃した。一族が危機に陥ったとき、川鳴一族を倒した左近は火薬によって、争いを起こす黄金の谷を埋め、黒部を去っていった。