しかも彼等は行く
劇場公開日:1960年6月3日
解説
宇留野元一の『雲の中の第一歩』の映画化で、定時制高校を舞台にした青春もの。柳沢類寿と内藤保彦が共同で脚色、「大いなる愛の彼方に」の大野徹郎が監督した。「バナナ」の長岡博之が撮影を担当した。
1960年製作/85分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1960年6月3日
ストーリー
町工場が並ぶ東京の下町にある定時制高校。沙織はこの高校で英語を教えていたが、生徒からは“あねご”と呼ばれて親しまれていた。彼女は生徒たちに思いっきりジャズを歌わせるという型破りの授業もしていた。彼女が担当するクラスの生徒河田が暴行罪で警察の厄介になった。町のヤクザ佐野と、校門の前で派手な立回りを演じたのだ。土建屋でPTA会長の山崎は退学処分を主張した。沙織は反対した。そんな時、天井が落ちて女生徒が怪我をした。この工事をしたのは山崎だ。沙織は山崎に責任を取れと言った。山崎は校長らと組んで彼女の追出しにかかった。玩具工場に勤めていた生徒のタケ子が妊娠した。彼女には井上という同級生の恋人がいた。井上が疑われたが、タケ子は工場の主任に犯されたのだと告白した。沙織は自分の名前でタケ子を入院させ、堕胎させた。この事件を山崎は週刊誌にトップ記事として扱わせた。記事は沙織自身が入院し、堕胎したかのごとくに書かれてあった。弁明を求められた彼女は、自分が堕したと答えたのだ。沙織には過去にそういう汚点もあったし、タケ子を救えばと思ったからだ。堕胎事件もタケ子の語った真相で解決をみた。山崎の不正も明るみに出た。が、河田たちの山崎一派に対する感情は治まらなかった。山崎がヤクザの佐野を使って悪事を重ねていることも分った。河田と佐野一味は原っぱで乱闘となった。佐野はナイフを使った。河田は格闘中このナイフで佐野を刺してしまった。河田は少年鑑別所に送られた。しかし面会に来た沙織たちの前で、河田の顔は明るかった。