「鉄砲の祟り」鉄砲伝来記 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
鉄砲の祟り
歴史の授業でも勉強した、種子島沖で難破したポルトガル船から日本に伝来した鉄砲。
その実話を基にした大映1968年の作品。
何処まで史実に忠実なのかは分からないが、とても興味深く見れた。
火薬を込める所から始まる鉄砲の使い方、鉄砲作りを命じられた鍛冶職人の仕事ぶり。
これらのシーンは専門の監修人が就いたようで、なかなかリアリティーを感じた。
所が、中盤迷走。
ポルトガル船長と鍛冶職人の娘のチープな恋物語。
外国から招いた俳優と麗しい若き若尾文子の為の企画のようで、鉄砲の話は何処へやら…しかし、終盤また何とか持ち直した。
真の主役は鍛冶職人の老人。
鉄砲を作ったのは、殿の命令だけじゃなく、プロとしての挑戦。
幾度の失敗を重ね、完成させた誇り。
が、それが人を殺す道具として使われる。
鉄砲で金儲けを目論む商人に騙される。
娘は南蛮人と駆け落ち寸前、事故で弟子も失い…鉄砲に関わったが故に人生が狂わされていく。
チープだった恋物語は悲恋物語となり、意外にもそれがラストの苦渋の決断の重みになっている。
そして鉄砲は時代ごとに改良され、今も世界中の問題として人々を苦しめ続ける。
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