われら人間家族
劇場公開日:1966年2月11日
解説
「呼んでるぜあの風が」の勝目貴久がオリジナルシナリオを執筆、監督した社会もの。撮影は三宅義行。
1966年製作/91分/日本
配給:その他
劇場公開日:1966年2月11日
ストーリー
ある幸福な若夫婦に女の子が生まれた。だが秋子と名づけられた子供は、重症の精神薄弱児と診断された。平和な夫婦の生活を根底からくつがえすこの子。両親は秋子を中に、心中を考え、秋子の自然死を願って寒い夜を薄着のまま背におぶって歩きつづけた。一夜あげれば、もしや治っているのではと秋子をのぞく母は、精神薄弱児をもつ親の会に出席し同じ悩みをもつ母親が福祉事務所や児童相談所の職員に支えられ、また児童福祉法や精簿者福祉法という法律があることを知った。公私の施設には国の補助金が下り、こうした子供を預かっていることを知った夫婦は、その日から各施設をかけずりまわった。だが重症児はおことわりという冷たい答えに、夫婦は政治の貧しさや社会の壁に直面しなければならなかった。秋子はやっと新しく開園した桐友学園に入った。母は面会に通う度に“ママ”と呼んでくれることを期待しながらも人形のような秋子よりも、さらに二重、三重の障害を持つ子供がのびのびと、可能性を切り開こうと努力する姿に感動するのだった。そして、これらの子供に昼夜かわらぬ愛情をそそぐ職員の人間愛に、人間の愛の広さを教えられ、自らも開眼されていった。やがて、母親はあれほど恐れていた第二の出産を、進んで望むようになった。あらゆる力を尽し、精神薄弱児の原因となることを予防し、出産を迎える。医師は異状なしと宣言した。秋子の時と同じ答えだ。しかし、もしこの子が精神薄弱であっても、人間として愛してゆこうと、しみじみ考えるのだった。